その「褒める」、本当に褒めていますか?「できないと、すぐにやる気をなくす」状態を改善するために②
前回のブログ記事の続きです。
ペーパーや製作課題など、お勉強がうまくいかなくて、お子さまがやる気をなくす、ということがあります。
そんな時は、
「できる」「できない」という結果の前に、
真剣に取り組んだときの「姿勢」や「態度」を褒めるようにしましょう。
これまで、このようにアドバイスをさせていただいてきました。
ところが、そうしたアドバイスを踏まえて、
「取り組む姿勢を褒めているのに、どうもペーパー学習をやりたがらない」
といったご質問も、いただくようになりました。
お子さまが、ペーパーを含めたお勉強に前向きに取り組めるように、
一緒にお勉強をする大人の側が、どのようなことを気をつけて、どのように関わるのが良いでしょうか。
お勉強がうまくいかないときに、やる気を無くしてしまうお子さまに考えられる原因の可能性と、
その対処法について順に挙げていきます。
その「褒める」は、「なぐさめる」になっていないか。
ペーパーに取り組んだけど、正解できなかった。
そんなお子さまに対して、「でも、真剣にやっていたのは良かったよ。」と声をかけたとします。
ところが、この言葉がけは「褒める」ではありません。
言葉を表面的に見てみると、
「でも、真剣にやっていたのは良かったよ。」というのは、
言外に「正解できなかったのは良くなかった。」という意味も含まれている場合があります。
大人が、このような声かけをされた場合、
「でも」ってことは、マイナスな価値判断が伴っているんだな。
「真剣にやっていたの『は』」なんだな。
というふうに受け取ることもあるでしょう。
(うまくいかなくて、自信を失っている時は、なおのことそうかもしれません。)
お子さまの場合は、こうした「接続語」や「助詞」の使い方やニュアンスを理解できていないかもしれません。
ですが、言葉の理解力が大人と比べて乏しい幼児期は、それだけに、話し手の意図をダイレクトに受け取る力がある、と、
少なくとも、私はそう感じています。
言葉の上では、プラスのことを伝えているつもりでも、
その際の意図がマイナス寄りだった場合、お子さまは、その言葉を前向きに受け止めることができないかもしれません。
先ほどの「姿勢」を評価するフィードバックも、
「褒める」というよりは、むしろ「なぐさめる」ようなものである側面が強いように思います。
何も言わないよりも効果はあるかもしれませんが、
お子さまの「正解できなくて嫌だ」という気持ちまでは、届かないかもしれません。
では、どうすれば良いのか。
お子さまを前向きにさせるために、意識しておくと良い「心構え」があります。
それは、
「悪いことは5割引きで、良いことを5割増しで伝える」ということです。
社会の厳しい環境で戦ってきたお父さま、お母さまからすると、
お子さまを褒めるのが難しい、ということがあります。
「こんな大したことのないことで褒めてしまったら……」とか、
「ここは、しっかりと反省させて教訓にしないと!」と思うことも、あるかもしれません。
ところが、この高い基準値にもとづく指導がお子さまの自発的な「やる気」に火をつけるかというと、
必ずしも、そうではないようにも思います。
些細な間違いを、針小棒大に指摘し糾弾したり、
反対に、お子さまの小さな達成をスルーしたり、ということがないでしょうか。
「悪いことは5割引きで、良いことを5割増しで伝える」
むしろ、お勉強に取り組んでいない時こそ、この心構えが必要です。
「一事が万事」だからです。
「お勉強の時だけ」褒める基準を変えようとしても、なかなか上手くいきません。
普段の生活の中から、
お子さまのちょっとしたミスには目をつむり、(もちろん、生命や身体の危険や他者の法益侵害につながるような過ちは、厳しく指摘をする必要があります)
お子さまがした小さな成功を、一緒に喜ぶ。
そんな、お子さまと関わる際の基本スタンスができていれば、
お勉強の時も、自然と良い点を褒めたり、うまくいかない悔しさを、次の頑張るエネルギーに変えていけたりするはずです。
ぜひ、普段の生活から意識をしてみてください。
ねばり強くお勉強に取り組めるために、普段の生活の中から意識できるポイントについて、
次回もう少しだけ書いていきます。