あなたは「失敗」にどのような意味づけをしていますか?
あっという間に、週末も終わろうとしています。
今週末は、個人、集団ふくめて、4つの授業を担当させていただきました。
子どものことも、お勉強も「大好き」な自分自身にとっては、
お子さまたちと、一緒にお勉強をして過ごせる時間は、至福の時間です。
いつも、楽しい時間を過ごさせていただき、本当に、感謝しています。
さて、今日は、「失敗」や「できない」ことがあった時、どうするか、というテーマについて書きたいと思います。
お勉強をしていたら、お子さまの「できない」場面に、たくさん遭遇することかと思います。
・ペーパー問題で、正しく答えることができなかった。
・「ちぎる」課題で、どうしても、線の上をちぎることができていない。
・その場ケンケンで、どうしてもフラついてしまう。
などなど、具体例は無数にあるでしょう。
「何度も言っているのに、繰り返し練習したはずなのに、うまくいかなかった。」
そんな「失敗」を、自分自身は、あるいはお子さまは、どのように捉えているでしょうか。
子どもは、親の価値観を反映する「鏡」である。
失敗についての話をする前に、共有をしておきたいことがあります。
それは、
「子は、親の鏡である。」
ということです。
ある出来事に対するお父さま、お母さまの反応に、繰り返しくりかえし触れていると、
お子さまも、同じように、その出来事に反応するようになります。
親をはじめとする、周りの大人の価値観が、子どもに伝わっていくのです。
もちろん、お父さま、お母さまからの影響が全てではありませんが、
小さなお子さまにとっては、お父さま、お母さまからの影響が、かなり大きいです。
これはほんの一例ですが、
・お勉強が好きなお子さまには、決まって勉強好きなお母さま、お父さまの姿があります。
・お母さまが、お勉強を「しなければならないもの」と考えていると、お子さまも、勉強は「しなければならないもの」と考えるようになります。
・お母さまにとって、お勉強がゲームや遊びのようなものであれば、お子さまも、遊んでいるかのように、嬉々としてお勉強に取り組むようになります。
そういった、傾向が親子の関係にはあるようです。
つまり、ある出来事に対して、お子さまが見せる反応には、
その出来事に対する、お母さまやお父さまの価値観が、いくらか反映されている可能性があるということです。
お子さまの反応をみることで、お父さま、お母さまの価値観を顧みることもできるのです。
さて、そうした前提をもとに、「失敗」について考えてみたいと思います。
あなたにとって「失敗」とは、どのような意味を持つものでしょうか?
「失敗」という言葉、あるいは現象について、どのような価値判断をするでしょうか。
失敗とは、
・してはいけないこと?
・恥ずかしいこと?
そして、
・しないように、気をつける必要があること?
それとも、失敗とは、
・たくさん、積み重ねるもの?
・成長に必要なもの?
そして、
・成功の母?
あなたは、「失敗」に対して、どのような意味づけを(無意識下で)おこなっているでしょうか。
「失敗」だって、ひとつの「経験」にすぎない。
いつからでしょうか。
「転ぶ」ことをいけないことだと、考えるようになったのは。
大人になって、転ばずに歩くことが当たり前になってからというもの、
「転ぶ」ということを、めったに経験しなくなりました。
大人となってからは、「転ぶ」ということは、慣れないことですから、かえって恐怖の対象に、なっているのかもしれません。
そして「転ぶ」という経験から遠ざかったことで、同時に、「転びそうな行為」そのものを、避けるようにも、なっているかもしれません。
「転ばない毎日」は、いつしか「転べない毎日」へと、変わっていた。
そんな風にすら、言えるのかもしれません。
そんな大人の視点とは対象的に、
小さな子どもにとって、「転ぶ」ことは、むしろ日常的な現象です。
公園で遊んでいて、盛大に転んだかと思えば、
けろっとした顔をして、そのまま遊びに興じる、などということも珍しくありません。
反対に、大声で泣いてしまう、ということもあります。
周りの大人が、「大丈夫?」と心配していた時ほど、転んだ時にダメージを受けやすい傾向にあるようです。
「転ぶことは、危険なことで、痛いことで、大変なことだ」という認識を親子で共有することが、
「泣く」という感情が長引く原因の、ひとつかもしれません。
「転ぶ」ということに対する親の価値観・考え方すら、お子さまにも反映されているのではないか、と考えています。
話が少しそれました。
話題を元に戻すと、
「失敗」に対して、ネガティブな価値観や、反応をしていけばいくほど、
「間違える」ということに慎重になります。
失敗を恐れて動けなくなったり、失敗を積み重ねて心が折れてしまうのは、このような「失敗観」を持つことに起因します。
反対に、
「失敗」を、ひとつの経験として捉えたり、あくまでも「現在地」として捉えるような、フラットな価値観を持っていた場合、
ひとつひとつの「失敗」に対して、ショックを受けたり、落ち込むことがありません。
さらに、「失敗」を「チャレンジした証拠」だと、むしろポジティブに捉えることもできれば、
どんどん、新しいことに挑戦していくことができるでしょう。
失敗をすること、物事がうまくいかないことは、けっして嬉しいものではないですが、
そんな経験に対して、どのように反応をしていくかで、お子さまの「失敗観」が作られていき、
今の実力より少し上の、チャレンジングな課題に挑戦していけるかどうかを、左右するようになります。
以前、一緒にお勉強をさせていただいていたお子さまに、
「失敗は成功の母だよ」と、教えてもらいました。
ご家庭でも、うまくいかなかったことについて、前向きに捉えながら取り組んでいただけているのだなと、嬉しく思いました。
言葉での理解にくわえて、
「失敗」を前向きに捉える感覚が腑に落ちたとき、
「できない」ことに対するプレッシャーが消え、
「できた」ことに対する喜びが、さらに大きくなります。
お勉強をしていけば、お子さまは、たくさん間違います。たくさん、失敗します。
お子さまだけではありません。
私自身も、今もなお、たくさん失敗してしまいます。
でも、失敗は、決して「負け」ではない。
お子さまたちと一緒に、失敗を、成功の母にできるように、
ひとつひとつの失敗を、学びの糧となる「経験」として、
どんどん、学びを積み重ねていけたらいいなと、思っています。