日常の中で、自己を探究することは、まさに「メタ認知」のひとつでもあります。
今週末は、お教室はお休みの週です。
1月最後の週末、皆様いかがお過ごしでしょうか。
外は、まだまだ寒いですが、
空気の中には、だんだんと「春」の空気がまざってきているように感じます。
小学校受験における季節は
12月・1月・2月が「冬」ということになっていますが、
本当は、
冬の中に、うっすら春が重なっていく、というのが、実際の季節の移り変わりというものなのでしょう。
皆様の中にも、
「もうすぐ春だなあ」と感じている方がいらっしゃるかもしれませんね。
ところで、感じている、この「春」のおとずれの気配は、
・気温的なものによるものなのか、
・だんだんと高く昇るようになっている太陽の光によるものなのか、
あるいは、
・なんらかの「匂い」によるものなのか、
いったい、何が「春」を感じさせているのだろうか、と不思議になります。
そして、
この「感じた春の気配」について、
「何を知覚したことから、そう感じたのか」を探って、
その感覚の「原因」を認識することこそ、
いわゆる「メタ認知」のひとつではないか、などと感じています。
「メタ認知」とは?
「メタ認知スキル」というと、
お茶の水女子大学附属小学校の研究テーマとなっている
自ら学びを構想し,主体的に学ぶ新領域「てつがく創造活動」を中核に据え、メタ認知スキルや社会情意的スキルを育成する教育課程の開発
という話題が思い浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。
主体的な学びを支える上での「メタ認知スキル」については、
お茶の水小の「学びをあむ」についての説明の中で、以下のようにまとめられています。
メタ認知スキル(meta-cognitive skills)
メタ認知とは,一般的には,認知についての認知,すなわち,自分や自分たちの行う認知活動を意識化して,一段上からとらえることと言われている。本校では,主体的に探究していく過程において,自分(自分たち)の考えや行為を立ち止まって省察し,調整する資質・能力と定義している。
この「メタ認知スキル」というのは、
どうやら、単なる「学び方」の範疇を超えて、「生き方」にまでつながるスキルでもあるようです。
日常生活における「メタ認知」とは
例えば、
「わが子が言うことを聞かず、『つい』声を荒げてしまった。」
ということがあったとします。
「つい」とあるくらいですから、
これは、目の前の状況に対して、自分の感情をコントロールできなかったことによるものでしょう。
このように、わが子に怒りの感情をぶつけてしまった時に、
「ああ、なんて自分はダメな親なんだろう」
と嘆くことには、あまり意味がありません。
(むしろ、自分やわが子に「ダメ」のレッテルを貼ること自体、あまり好ましいことではないようにも思います。)
そうではなく、
「なぜ、ここで怒りの感情を抑えられなかったのか」
について考えることが大切です。
怒りの感情は2次感情ですから、
その原因は、手前にあります。
例えば、
「出発の時刻まで時間が迫っていて焦っていた」とか、
「他の悩み事で頭がいっぱいだった」とか、
あるいは「自分が寝不足で疲れていた」とか。
その上で、「わが子が言うことを聞かない」ことが、
「焦り」や「不安」や「疲労」の限界を超えるきっかけとなり、
「怒り」の感情に繋がっていた、ということになっていることが考えられます。
このことを認識し、理解することができれば、
コントロールできない「怒り」の感情が出る前に、
「あ、今、自分は焦っているな」とか、
「イライラが溜まっているな」といった、
自分の感情について知覚をすることが、できるようになります。
その上で、
「じゃあ、どうしたら焦らないで済むかな」とか
「ここは重要じゃないから後にしておこう」とか
「イライラしがちだから、無理をしないように気をつけよう」とか
「疲れてるから、いっそのこと早く寝よう」などといったふうに、
自分の思考や感情をコントロールできるような対策を講じることも、できるでしょう。
こういった一連の思考・行動の流れこそ、まさに
「自分の考えや行為を立ち止まって省察し,調整する」
ということに他ならないのではないでしょうか。
つまり、ご家庭の中でも(もちろん、学校や職場においても)、メタ認知スキルを活用できる機会はたくさんありうる、ということです。
日常的に、「自らの知覚」を知覚していく習慣が果たす役割。
日常から、自分の興味・関心や、思考・感情について意識を向けることが習慣づいていたら、
それは、「学ぶ力」だけではなく、
「生きる力」にもつながっていきそうな気がします。
「メタ認知」という言葉自体は、あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、
似たようなことについては、古くから言及されており、決して新しい概念でもありません。
例えば、室町時代、「能」を大成した世阿弥は、優れた演者となるための教えとして「離見の見(りけんのけん)」を説きました。
(「演者は、舞台に立っている自分を、観客の視点から見るように捉えることが大切である」という教えです。)
「自分自身を客観視する」という点で、これもまさしくメタ認知的な思考活動でしょう。
また、「岡目八目」(囲碁を打っている本人よりも、横で見ていたほうが8目も先まで手を読むことができる、という意味)という四字熟語にもあるとおり、
人は、主観的に物事を捉えるよりも、客観的に物事を捉えるほうが、冷静な認識・判断がくだせるものです。
つまり、小学校受験に向けたご家庭での学びを企画する際にとどまらず、
より良い日々を過ごす上でも、
「自分を客観視する」視点を持つこと、
言い換えれば、「自分を研究材料と捉えて「自己探究」をする」ということは、
大切な視点であるのではないでしょうか。
(ただし、「自己探究」が目的となってしまう場合には注意も必要です。
大切なのは、自己の思考や感情を理解した上で、それをどう日常に役立てていくか、だからです。
日々の生活を「自分探しの旅」にするのではなく、新しい「自己発見」は、何かを目指す上での「副産物」と考えるのがちょうど良いバランスではないかと思います。)
ぜひ、日常の中の「学び」や「生活」のなかで、
自分の思考や感情にも目を向けてみてください。
日々の生活や学びが、より有意義で、充実するものになるかもしれません。
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