国立小受験の「数の課題」でもポピュラーな「求差」の問題を理解するためにペーパー学習より先に行うこと。
本日は、「数のちがい」を比べる「求差」について、
ペーパー問題のスムーズな理解をしていくための学習の進め方について、ご紹介します。
問)自動車とトラック、どちらが何台、少ないですか。その数だけ、少ない方のお部屋に鉛筆で○を書いてください。
本日は、このペーパー問題を例にとって、「求差」の課題について解説をしていきます。
「求差」のペーパー問題のセオリーは「線結び」。だけど、
このペーパー問題を解く際は、
「自動車」と「トラック」を1台ずつ線結びをして、
余った数から、「どちらがいくつ少ないか」を考えるやり方が常道です。
この「線結び」での学習の仕方が、
非常にわかりやすい「ノウハウ」として、(お教室を含む)様々なところで伝えられるために、
「求差」の問題が出されたときに、
「まずは、線で結べばいいのよ。」
というふうに、やり方を教えていくことが、多くあるように思います。
ですが、
「求差」=「線結び」というやり方だけを覚えようとするのでは、
学習の理解が、なかなか定着しないことになる可能性があります。
そもそも、何のための「線結び」なのか、を理解する。
「求差」の学習を理解するためには、
第一に、「数の多少を比べるというのはどういうことか」を理解する必要があります。
そして、そのために最初に取り組むのは、
ペーパー学習ではありません。
ペーパー学習の前に、まずは「具体物」を使った学習を。
「求差」について、ペーパーを前にした学習をする前に、まず徹底して行って欲しいのは、
「具体物」を使った学習です。
たとえば、
「コーヒーカップとソーサ」
「フォークとナイフ」
「飴とチョコレート」
など、ご自宅に複数あるものであれば、なんでも構いません。
2種類のものの数の違いを、
実際に物を動かしながら比べていく、ということを行います。
たとえば、
「フォークとナイフ」を例にとって、
どのように数を比べるかを、イラストで説明してみます。
この「フォークとナイフ」の場合、
たとえば「レストランごっこをしよう」とか「お夕飯のお手伝いをしてね」といったシーンで、学習をすることができます。
まずは、
「1人の人が、フォークとナイフを1本ずつ使うから、フォークとナイフを1本ずつセットにしていって」もらいます。
フォークとナイフを1本ずつセットにしたら、
「まだ、セットを作れそう?」と確認をしながら、
「もう、作れない」となるまでセットを作ってもらいます。
そうすると、「セットにできたもの」と、「セットにできなかったフォーク(余り)」に分かれます。
このように、実際のフォークとナイフを、
「セットにできたもの」と「余ったもの」に分けてみることで、
「数の違い」を視覚的に分かりやすくすることができます。
こうした後で、
ナイフとフォークについて、
「どっちが余ったの?」「フォークはいくつ余った?」
「どっちが多いの?」「フォークはナイフよりいくつ多い?」
「どっちが足りない?」「フォークと同じ数にするにはナイフはいくつ足りない?」
「どっちが少ないの?」「ナイフはフォークよりいくつ少ない?」
「フォークとナイフの数の違いはいくつ?」
といった質問をしてみます。
大人からしてみたら、「同じことを聞いているだけ」のようにも感じますが、
それぞれの質問の表現ひとつひとつについて、お子さまが理解して答えることができているかが重要です。
ちなみに、この「求差」の設問の中では、
「どちらがいくつ少ない?」の「いくつ少ない?」の質問の理解が、難しいようです。(「ナイフが」に引っ張られて、ナイフの数を数えなおしてしま意がちです。)
「なぜ、何度も聞いてもわからないのだろう?」と悩んでしまいがちですが、
「ここは、難しいところなんだ」という理解をあらかじめ持っておくだけでも、
理解をサポートする上での余裕が持てるかと思います。
また、実際に質問に答える際に
お子さまが戸惑うようなことがあったら、
「セットになっている方は、ナイフとフォークの数は同じ」ということを、改めて確認してみてください。
そうすることで、「あまり」の数(図の場合はフォークの「4本」)
が、
「フォークがナイフより多い数」であり、
「ナイフがフォークより少ない数」でもあり、
「ナイフが足りない数」でもあり、
「フォークとナイフの数の違い」であることを理解していきます。
具体物を使った「数の違いを比べる」作業で確認して欲しいのは、
①1対1でセットにしたものが、「同じ数ずつある」ことを理解する。
②あまりの数が、「数の違い」であることを理解する。
③「数の違い」を表現するいくつかの方法について、それぞれ理解する。
ことです。
ペーパー学習に取り組む前に、
具体物を使って、様々なものの「数の違い」を、実際に物を移動させながら比べて、
上記の①②③を理解できるようにしてください。
そうすれば、
ペーパー課題において「線結び」をするのは、
①の「同じ数どうしのものをわかりやすくする」ためだということが理解できるようになります。
ペーパー学習に取り組む際に、
「線結びをする意味」を理解した上で、線を結ぶのと、
「2つのものの数を比べるときは、とにかく線結びだ。」という認識で線結びをするのでは、
その後の理解も違いますし、
数の違いをたずねる様々なバリエーションの表現を理解しておくことで、
いざ、線結びをした後に、
「それで、何を答えたら良いのか」についてわからなくなることも防げるようになります。
こうなってしまうのは、
・設問の表現を理解できていない場合
あるいは、それに加えて、
・「線結び!」という方に意識がいきすぎて、肝心の設問を聞くことに集中できていなかった場合
もあるでしょう。
ペーパーをやり込む前に「急がば回れ」
「小学校受験のための勉強」というと、
どうしても、ペーパー教材をたくさんやったほうが良いように思いますし、
「このくらいのペーパーに取り組んだ」という声が周りから聞こえてこようものなら、
「もっとペーパーに取り組まないといけないのかも」と焦るかもしれません。
ですが、
「意味を理解できていないまま、勢いで取り組む10枚」よりも、
「じっくり、理解を確かめながら取り組む1枚、あるいは具体物学習」の方が、
学習の充実度は高いです。
ペーパーの枚数にチャレンジするのは、ひとつひとつの設問の理解をできた後からでも、遅くはありません。
学びはじめのタイミングでは、
ぜひ、じっくりと学習を進めてみてください。
「求差」のバリエーションがわかれば、ペーパー問題もアレンジできる。
同じペーパーに、何回か取り組んでいったら、
「このペーパーは、トラックのお部屋に○を3つ書けばよかったな。」
と、問題そのものを記憶してしまうこともあるでしょう。
ですから、
同じペーパーに、ある程度の回数くりかえして取り組むときは、
設問の聞き方を変えるなど、ペーパーをアレンジして学習を行うようにします。
今回のペーパーの例では、
「自動車とトラック、どちらが何台おおいですか。」
「同じ数ずつにしたときに足りなくなるのはどちらですか。」
「同じ数ずつにしようとして余るのはどちらですか。」
などと、設問をアレンジすることができます。
そうすることで、同じペーパーを、何度も有効活用することができます。
「求差」の問題は、数の課題では重要な単元のひとつです。
本番でも出題されるレベルの問題ですので、
繰り返し、様々な表現を理解できるように、
ペーパー学習以外の方法でも理解を確認していってみてください。
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