ペーパー学習は、枚数をこなすことが「正義」なのか。
21春期講習、第2クールが始まっています。
昨日より、
今年の春期講習の第2クールがスタートしました。
1講座から単発でご参加いただける国立小向けのクラスの初日は、
ペーパー対策講座からです。
90分で、12枚のペーパー問題に順に取り組み、
答え合わせ・解説までを終える授業に、
最後の1問まで、真剣に参加してくれました。
スピードが足りずに正解に至らなかった、という問題もいくつかありましたが、
それは、「これから」です。
それよりも、
問題の内容を理解して、
自分で考えながら解くことができていたことから、
これまでの着実な学習の成果を確かめることができた授業ともなりました。
(このように、「正解したから○、間違っていたから×」とも言い切れないのが、試験に向けて取り組むペーパー学習の難しくも面白いところです。
これは、小学校に入学した後、ともすれば大学受験期まで共通です。)
ペーパーの学びはじめは、「じっくり」が優先です。
初めから、明確な制限時間を区切って、スパスパ問題を進めることは、
「理解を積み上げる」という目的においては、適切ではない、と考えています。
これには、明確な理由があります。
想像してみてください。
「問題の意味も、よくわかっていないのに、素早く答えを出す」ことを強いられたら、
そのお子さまは、どうなっていくでしょうか。
おそらく、
問題の分量から、「やめ」の合図がいつ来るかを予測して、
時間内に、解答を仕上げることができるようになるでしょう。
え?いいことなんじゃないですか?
その通りで、
これはこれで、ペーパー課題のパフォーマンスを上げるうえで、必要な能力のひとつです。
ですが、答えを書く際に、
「問題の意味を理解していること」は、
置き去りにされてしまいます。
結果として、どうなるか、というと、
とりあえず、答えを書いているだけになる場合、
問題の正答率が、著しく悪くなります。
通常であれば、じっくり思考することを要求する問題に、
それこそ、誰よりも早く答えを書き切っているのに、です。
あるいは、「数の問題」などでは、
問題の意味もよく分からないまま、
(いや、むしろ問題の意味がわかっていないからこそ)
「やめ」の合図がくるまで、ただただ○を書き続ける、ということもあります。
これらの様子が、合否の判断材料になっているかは、
私が試験官ではないので判りません。
ですが、少なくとも確かなのは、
上記のような解答をしているお子さまの様子は、
大人がちょっと見たら、すぐに分かる、ということです。
そして、
・そもそも、問題の意味を理解しなくても答えを出そうとする(制限時間内に解答欄に答えは書く)。
↓
・問題の枚数は、比較的短時間でたくさんできる。
↓
・「たくさんやること」が目的になると、答え合わせは「あっている」「間違っている」だけになりがち
↓
・「間違っていた」がフィードバックされるだけの状態では、新たな「理解」が積み重ならない
・しかも、1日に大量の「間違っていた」がフィードバックされるので、なおさら理解のキャパオーバーを起こす
↓
・問題の本質を理解しないまま素早く正解を出そうとすると、いきおい「パターン学習」になりがち
↓
・少し出題方法をひねっただけの基本レベルの問題で、答えがわからなくなる
↓
・夏や秋口になっても、そんなに難しくない(ように見える問題)でぼちぼち間違える
↓
・そもそも、「できる」ことが至上命題となっている傾向にあるため、間違いに対して「どうして分からないの!?」となりがち
・そして、その状態がペーパ学習の「基本ベース」として続く
↓
・夏から秋にかけて「スランプ」が顕在化する
(ここでいう「スランプ」とは、「以前は解けていた問題が急にできなくなる」ということを指します。これは、そもそも、もともと本質を理解していなかったがために、解答の「パターン」を忘れていた、ということにもよりますし、上記の「できない」が続くことによる心因性のものもありえるでしょう。)
こういった現象は、決して、まれに起こることではありません。
ところで、
上記のような「理解が追いついていなくても、ひたすらペーパーの枚数をこなす」という学習においても、
試験本番において、高いパフォーマンスを出せる場合があります。
それは、
「スランプ」にもめげない強靭なメンタル力で、
圧倒的なペーパー学習をやり切ったことで、
膨大な「パターン」ほぼ全てをたたき込み、
大抵の問題に対応していけた場合です。
けっして、ラクな道ではありませんが、
テストの「結果」を見れば、これも、ひとつの「勝ち方」でしょう。
ただ、この場合、
気をつけなければいけないのが、小学校入学後の学習です。
ペーパーの問題は、「パターンだけで解ける」という信念があるからか、
あるいは、「素早く答えを出すこと」が無意識的に求められているからか、
特に、「文章を読んで答える問題(国語の読解や、算数の文章題、あるいは応用問題・発展問題)」を
「よく読まない、よく考えないで答える癖」
が身につきます。
幼少期に染み込ませている学習パターンなので、
なかなか、修正するのが厄介です。
もちろん、
それすらも、圧倒的な学習量で克服していくことは可能でしょうし、
そのためには、それ相応の時間を、学習に費やすことになりますから、
圧倒的な学習習慣と、
それを苦にも思わない強い精神力は身につくでしょう。
これは、通常では真似できないような、とても立派な「努力」なわけですから、
そうした積み重ねが、社会に出たときに役に立つ、ということも、きっとあるはずです。
お勉強を「ベリーハード」モードで進めることで、
そういった精神力も鍛えていこう、という方にとっては、
こういった選択も、大いにあり、です。
ただ、それだけのことをやり切るには、
それ相応の覚悟が必要なので、
私からは、万人にオススメできる学習法とは、言えません。
むしろ「理解しながら進める」ことの方が、「学習」そのものの効果としては高いと考えています。
基本的な学習姿勢として、
・学習内容を理解しようと、考えながら取り組むこと、
つまり、
・パターンではなく、その意味や本質を(脳内で)言語化することを目指すこと、
が、
基礎から応用・発展問題まで、
無理なく理解をつなげていく学習法であると、考えています。
意味がわからないまま100枚のペーパーに取り組むくらいなら、
意味をしっかり理解するために、10枚のペーパーを使う方が、
トータルの学習時間も短くなるし、
「記憶」の保持力も高まるはずです。
また、新しい単元を学習するときに、
これまでに学習した内容を活用しながら理解をすることが可能になっていきます。
「急がば回れ」ではないですが、
日々の学習を、一歩一歩、着実に踏みしめていくこと、
理解をしっかり浸透させていくことが大切です。
そういった意味では、
昨日のペーパー対策講座にご参加いただいたレギュラークラスの皆様、
そして、第1クールのペーパー対策講座にご参加の皆様も含めて、
問題の正誤ともに、「適切なステップ」を踏めています。
「できていること」も「できなかったこと」も含めて、順調です。
その上で、
「できなかった部分」を、できるようにしていくには、
これから、どのようなポイントを意識していくといいかな、というのが、
次のテーマです。
ご家庭での学習のリズムや、重点的に意識をするポイントについて、
お困りのことがありましたら、
①「どうしていくといいのかな」と、いちど考えてみて、
そして、
②いつでも、お気軽にご相談ください。
「考える」習慣が、
ご家庭での学習習慣を、どんどん、良質なものへとレベルアップさせていくはずです。
本日は、「制作講座」です。
本日も、お教室でご一緒できるのを、楽しみにしています。