ペーパーを前にしなくても、学習はできる
現在、来週末の定期教室のペーパー問題を、作成・編集しています。
同じペーパーでも、聞き方によっては、全く違った問題になります。難易度も、大きく変わってきます。
「どういう風に聞いてみたら、答えやすい問題にできるだろうか。」
「どんなふうに解いていったら、考えながら理解を深めるペーパーにできるだろうか。」
もうしばらく、考えてみたいと思っています。
さて、ペーパーの話とは、真逆のことを言うようですが、
ペーパーがなくても、学習はできます。
それは、ノンペーパー(ペーパー課題がない)の調査を実施してきている小学校があることからも、明らかです。
(都内の国立小学校であれば、お茶の水女子大学附属小学校と、東京学芸大学附属竹早小学校が、ペーパー試験をおこなっていません。)
ノンペーパーでの試験をするということは、つまり、ペーパーでの学力を見なくても、求めている生徒を選抜することができる、と考えているからに他ならないということになります。
また、実際の小学校の授業でも、
授業は「教科書の何ページを開いて勉強しましょう。」と言って進めるべきものではない、という風に、言われてきています。
「お勉強=ペーパー」というものだけでは、ないのです。
むしろ、ペーパーのみでおこなう学習は、効果的ではない、とすら言えるかもしれません。
通常、人の記憶というのは、覚えたそばから、次々と失われていくものだそうです。
(知覚した情報を、すべて覚えておいてしまうのは生きていく上で都合が悪いので、覚えるものを取捨選択しているのだ、という説もあります。)
日々、触れていく膨大な情報の中で、「脳が大切なことだと認識したもの」が、記憶として定着していくとも、言われています。
そうすると、効果的に学習するためには、勉強する内容を、いかに「大切な情報」と認識させるかが、重要となってくるわけです。
大切な情報と認識させるための、ひとつの方法が、「繰り返し」です。
同じ情報を繰り返しインプットすることで、脳はその情報を「大切なもの」と認識します。
だから、復習を何度も繰り返すことが効果的であり、「大切なことは何度も言う」ことが必要になってくる、と言うことになります。
効果的な復習の方法については、またあらためてまとめたいと思いますが、
復習をする上でのポイントのひとつが、「ワンパターンにならない」ということです。
同じペーパーだけを、何回もやるよりも、
違う場所や、違うシチュエーションで、違った形式の聞き方で復習をする機会を持った方が、より効果的です。
例えば、「右手・左手」のペーパーを毎日学習するのも良いですが、
「お茶碗は左でお椀は右に置いてね。」と配膳のお手伝いをお願いしたり、
「グーチョキパーで、なにつくろー」と手遊びをする中で、右手と左手を確認したり、
「クイズ!右手はどっちでしょう?」ゲームを親子で楽しんだり、
通りがかりのペットショップで、「このワンちゃん、右足だけ黒いね。」などとお話をしたり、
と、日常生活の中に隠れている「右・左」に、意識を向けてみることが、より、復習の頻度を上げることにつながります。
繰り返しの復習以外にも、もうひとつ、情報を覚えやすくするコツがあります。
それが、「感情を伴った記憶」です。
感情を伴って、知覚した情報は、強い記憶として残りやすくなります(「エピソード記憶」とも言われます)。
ですから、「楽しい」「嬉しい」「驚いた」という感情と一緒に学習すると、より、覚えやすくなります。
もちろん、ペーパー学習に取り組む際でも、この感情を伴う学習法は有効です。
(プラスの感情とともに学習した方が、覚えやすくなります。)
そして、ペーパーだけではない場所に学習の機会を設けていくことができれば、より、様々な感情や経験とリンクさせながら、ものごとを覚えていくことができます。
季節の常識問題などは特に、経験に勝る学習はありません。
「日常を、すべて学習につなげよう」とまで考えなくとも良いと思いますが、
ぜひ、日常の中で、「あ、これもお勉強したこととつながるな。」と、発見してみてください。
日々の学習が、より幅広く、深まっていくはずです。
