「小学校受験」わが子にどこまで伝えるか。毎日のお勉強は何のために行うのか。

お子さまが「小学校受験」を意識することは必要か?
今回は、小学校受験の準備をすすめる上で、
お子さまに「受験をする」ということを理解させることの是非について、まとめていきます。
国立小受験の合否を「勝敗」と捉えるべきではない
お子さまに、「小学校受験」を目指したお勉強を意識させるということは、
「お受験に合格するために、今日のお勉強を頑張ろう」という意識を持っていく、ということを意味します。
毎日のお勉強の目的を、「小学校受験の合格」として、
目的に向けて頑張り、達成する、ということは、
合格に至ったときに、大きな「成功体験」となることでしょう。
しかし、小学校受験、特に国立小受験においては、
「合格を目指したお勉強」をお子さまに意識させることは、
少し考えた方が良いかもしれません。
過去に出されていた東京学芸大学附属竹早小学校の学校案内における
「入学者選抜」に関する記載を、あらためて見てみましょう。
本校は、定員の枠があるために、入学希望者全員を受け入れることができず、やむを得ず選抜をしますが、特別な準備を必要とするものではありません。ですから、ご家庭において、この選抜を突破させるために過度な準備教育がなされることを、本校ではたいへん憂慮しています。調査を受けるための準備や訓練が不適切に行われると、お子さんの心身の健やかな発育の障害になる場合があるからです。
また、本校への入学に過度な期待感をもたせ、不合格の時に強い挫折感を味わわせることがないようお願いいたします。お子さんに優れた素質があっても、当日の体調や、普段とは異質の雰囲気の中で、本来の力を発揮できないという例も少なくありません。抽選もあります。例年、定員の都合で、合格者よりも不合格者の方が圧倒的に多いという実態をご理解ください。
特に、試験前に抽選がある小学校の場合は、
「努力が報われる機会すら与えられない」ことも、多くあります。
そして、仮に受験の機会が得られたとしても、
当日の状況によっては、持てる力を存分に発揮しきれないない、という可能性もゼロにすることはできません。
(一緒に課題に取り組むお友だちとの「ご縁」もあります。)
「合格」のために、日々のお勉強を進めていった場合、
求める結果が得られない可能性が少しでもある以上は、
「もしも」のときに、それまでのお勉強の価値が「無」に帰すということになります。
「これまで、ときに我慢をした時もあって頑張ってきたのに、それも、一切が無駄だった……」
お勉強に対して、このような結論づけをしてしまったとしたら、
「就学後のお勉強に対し、前向きに取り組む」ことを考えたときに、
小学校受験後に、もう1度「お勉強」を再定義し、家庭学習を再起動する必要が出てきてしまいます。
(もちろん、このようなスタンスで「お勉強」に向き合ってきた場合は、あらためて「お勉強観」をつくりなおしたほうが良いようにも思います。)
保護者の意識と、子どもの意識は違っていても良い。
お母さま、お父さまが、
「お子さまの小学校受験の合格」を目指して、ご準備を進めるという部分は、少なからずあるでしょう。
合格を目指すからこそ、お忙しい日常の中で時間をとって、お勉強に関わることも、多々あるはずです。
ですが、それはもちろん、
「小学校受験は『ご縁』の世界である」という点についての理解があった上でのことです。
結果によっては、それまでの取り組みの価値が失われる、といった感覚で受験勉強に取り組むわけでは、
決して、ないことかと思います。
ですが、このバランス感を、お子さま本人に求めるのは、
とても難しいところでもあります。
そして、就学前という、人生の初期にあたる時期である小学校受験期の「記憶」というものは、
大人になっても、残っているものです。
私が、小学校受験に向けた指導をしている、ということを知って、
「実は、自分も小学校受験に取り組んでいたんです。」
というお話をしてくださる大人の方とも、何人もお会いしてきました。
その中でも、
「母親に叱責されながらお勉強をした」ことや、
「受験本番でうまくいかず、ものすごいプレッシャーを感じた」ことを、
大人になっても、まだ覚えている、というような話もうかがってきました。
小学校受験で、志望校にご縁をいただけなかったときに、
「この子の小学校受験は『失敗』だった」と話していた母親の言葉が、忘れられない、といったお話も耳にしたことがあります。
小学校受験に取り組んだ、全員が全員ではないですが、
こういった、小学校受験にまつわる「好ましくない記憶」というものも、
いずれも「結果至上主義」による受験勉強を進めてきたことによるものではないかと思えてなりません。
小学校受験の「合否」はお子さまやご家庭の「優劣」を決めるものではない。
小学校受験に取り組むのは、5歳、6歳のお子さまたちです。
生まれてから、6年前後の期間に取り組むものであり、
その結果で、「人生が決まる」わけではありません。
また、先の竹早小のメッセージにもある通り、
小学校受験の「合否」は、それだけでお子さまの「優劣」を判定するものではありません。
ですから、小学校受験は、もちろん「合格」を目指して取り組むものではありますが、
お子さまに「合格」を目指して努力をさせる、ということは、
あまり、望ましい態度ではないのではないか、と考えています。
では、日々のお勉強の「意味づけ」はどのようにすると良いのか。
では、小学校受験に向けたお勉強は、
「何のために取り組むものである」とお子さまに認識させるのが良いのでしょうか。
私からは、
小学校受験期のお勉強について、お子さまの認識として、
「素敵な小学生のお兄さん・お姉さんになるためのお勉強」
として取り組んでいただく、ということを提案したいです。
「小学校でのお勉強」というのは、
まだ、小学校に通ったことのない年中さんや年長さんのお子さまからすると「未知の世界」です。
自分が、ゆくゆく小学生になって、
小学校でお勉強に取り組むことになるときに、
かっこいい、素敵な姿で、どんどんお勉強を得意になっていくためにも、
「年中さんや、年長さんのうちから、お勉強に取り組んでいる」ことが重要なのだ、という捉え方をしていけることが理想です。
つまり、小学校受験期のお勉強というのは、
あくまでも「就学準備学習」であり、
小学生になってから、お勉強が得意になるための「練習」であるという考え方をするのが良い、ということです。
このように意識して取り組むことが、
小学校受験期のお勉強から、本格的な(小学校での学習の形式に合わせた)就学準備学習へと、スムーズに移行することにつながりますし、
ご家庭で身につけた学習習慣を、そのまま、小学生になっても継続していきやすくなります。
(言い換えると、小学校受験を終えて「燃え尽きる」ようなお勉強の進め方をすることは、「就学準備学習」として考えたときには、あまり望ましくないと言えるのではないでしょうか。)
「就学準備学習を意図するのであれば、何も小学校受験のお勉強ではなくて、それこそ計算教室などのお勉強を進める方が、(小学生のお勉強のフォーマットとも近くて)理想的なのではないか?」
といった疑問も湧くかもしれません。
ですが、お子さまが「就学前準備学習」を意図してお勉強をしていても、
当然ながら、お父さま・お母さまが意図して取り組むのは小学校受験の合格につながるお勉強となりますし、
「合格のため」という意図を抜きにしても、小学校受験における出題スタイルに沿ったお勉強こそが、小学校での学習における総合力をつける、という点もあります。
(この点は、また論点が違うため、別の機会にあらためて触れることにします。)
そもそも、「受験する」ことをどのように伝えるのが良いのか
小学校受験に取り組む保護者の皆様が、当然ながら理解されている通り、
小学校受験は、「合否」を出すためのテストです。
ですが、それをそのままお子さまに伝えるべきか、については、
意見が分かれるところです。
私の意見は、「受験は合否のあるテスト」であるという認識をお子さまが持つ必要はなく、
お子さまは、
「自分自身にとって、いちばんピッタリな学校1校だけからお知らせが届くから、
その前に、いちばんピッタリな学校がどこか、いくつかの学校に行って、先生たちとお勉強をしてみる、
それがいわゆる『小学校でのテスト』である。」
という認識をしているのが最適ではないかと考えています。
この考え方によるのであれば、
お子さまは「どこの学校に出願したか(逆に、出願してないか)」を知らなくても良いことになりますし、
それぞれの学校の合否についても、お子さまには伝えない、ということになります。
また、受験をするにあたって、
特定の学校に思い入れを抱かせることも必要なければ、
逆に、(場合によっては通うこととなる)地元の小学校のことを悪く言うことも望ましくない、ということになります。
お子さまにとって、
自らが受験をする学校の名前を知っていたり、
事前にその学校(の付近)まで足を運ぶことは、しておいた方が良いことですが、
その上でも、受験することになるいくつかの学校については、優劣もないイーブンな認識であることが適当です。
「非受験」であっても取り組むことが望ましい、「就学準備学習」としての受験勉強。
私個人の意見でしかありませんが、
たとえ、小学校受験をしなかったとしても、
就学前にお勉強の習慣を作ることには、後に効果を発揮する大きな価値がある、という信念があります。
ですから、年中さん、年長さんのうちから、
「素敵な小学生のお兄さん・お姉さん」を目指して、ご家庭で親子で一緒にお勉強をすることは、
「小学校受験」がなかったとしても、やっておいた方が良い、と考えています。
「小学校受験」に取り組むなら、なおのことです。
小学校受験に取り組むこと、
保護者の皆様がご家庭の教育方針と照らし合わせた上で、小学校という「学びの環境」を選択していくことは、
また別の、大きな価値があります。
だからこそ、たし算、ひき算のお勉強を進めていく代わりに、
「受験に向けて」を意識したお勉強をしていっているわけです。
それだけの価値があるからこそです。
ただし、「小学校受験」に意味づけ、価値づけをおこなうのは、
お父さま・お母さまの側だけでも充分です。
お子さまにとっては、
受験・非受験ともに、取り組むお勉強の内容の違いこそあれ、
お勉強に取り組む目的は、同じ「素敵な小学生になる」ことで良いと考えています。
「素敵な小学生のお兄さん・お姉さん」となるために、
ちょっとだけ、背伸びをしながら取り組むのが、
ご家庭やお教室での「お勉強」の時間、と捉えれば、
学習能力だけでなく、心のトレーニングとしても、お勉強を活用することができるでしょう。
ぜひ、ご家庭でのお勉強は、
「素敵な小学生」を意識しながら、取り組んでみてください。
お申し込み受付中の講座
○ゴールデンウィーク講習
・製作講座………5月3日(水祝) 8:30〜9:30
・口頭試問講座…5月3日(水祝) 10:00〜11:00
・運動講座………5月3日(水祝)11:30〜12:30
対象:年長
価格:各7,000円(税込)
講師:藤田
教室:小学校受験協会四谷教室
新宿区四谷三栄町
■お申込みは、今すぐです。
GW講座のお申し込みページから、必要事項をご入力の上、お申し込みください。
○筑波大学附属小学校 対策講座
日程:5月28日(日)11:00〜12:30
6月25日(日)11:00〜12:30
7月23日(日)11:00〜12:30
対象:年長
価格:各回9,000円(税込)
講師:藤田
教室:小学校受験協会四谷教室
新宿区四谷三栄町
■お申込みは、今すぐです。
筑波小対策講座のお申し込みページから、必要事項を入力の上、お申込みください。
〇金生先生の行動観察講座
日程:5月13日(土)9:00~10:30
6月10日(土)9:00~10:30
7月8日(土)9:00~10:30
対象:新年長
価格:10,000円(税込)
講師:金生先生
教室:小学校受験協会四谷教室
新宿区四谷三栄町
■お申込みは、今すぐです。
行動観察講座のお申し込みページから、必要事項をご入力の上、お申し込みください。
〇絵画制作講座
日程:5月13日(土)11:00~12:20
6月10日(土)11:00~12:20
7月8日(土)11:00~12:20
対象:新年長
価格:9,000円(税込)
講師:清水先生
教室:小学校受験協会四谷教室
新宿区四谷三栄町
■お申込みは、今すぐです。
絵画制作講座のお申し込みページから、必要事項をご入力の上、お申し込みください。
