小学校受験の聞き取り対策|指示を正確に理解・記憶する練習法

小学校受験における「指示の聞き取り」は、
すべての課題の土台となる重要な力です。
この記事では、
指示を正確に理解し、記憶し続けるための具体的な練習法を、
ご家庭で実践できる形で解説します。
小学校受験で聞く力が重要な理由
小学校受験に取り組むのは、就学前のお子さまです。
そのため、小学校受験では、ペーパーテストひとつをとっても中学受験以降の受験とは決定的に異なる点があります。
それは、
「指示が文章でなく、すべて口頭で出される」
ということです。
特に、国立大学附属小学校は、その存在意義が
「全国の公教育に資するための研究をおこなう」点にあります。
そのため、小学校の学習指導要領で、小学1年生にひらがなやカタカナ、数字の読み書きを取り組むことになっている以上、
受験の課題の中で、文字や数字の読み書きを前提とした出題をすることは、絶対にできません。
(そうした出題をしてしまうと、小学校での学習の「先取り」をしてくださいというメッセージを暗に発してしまうことになるからです。)
文字や文章を使った指示ができないわけですから、
すべての指示は口頭でなされることになります。
これは、場合によっては、「文章を読む」ことよりも難しい場合もありえます。
なぜならば、
・文章は、よくわからなくなったら何度も読み返すこともできる
それに対して、
・小学校受験における口頭での指示は、1回だけしか出されないため、指示を聞き返すことができない
からです。
指示を注意して聞き、正しく理解し、その指示に従った行動を取ることが、
ペーパー課題に限らず、製作課題や行動観察、運動課題など、小学校受験のすべての課題において必須なのです。
指示の聞き取りができない原因
模試や講習会に参加してみると、
・ペーパーの問題の内容を聞いて覚えられない
・「何色のクーピーなのか」「○なのか△なのか」「○をつけるのか囲むのか」といった細かい内容を聞きそびれる
・指示通りに行動できずに戸惑ってしまう
といった、ご家庭での学習では見られない課題に気がつくことがあります。
小学校受験で指示の聞き取りができない原因は、どのようなところにあるのでしょうか?
・そもそもの「聞く」という姿勢・態度が身についていない
説明を「聞く」という意識が不足している場合です。
ご家庭や園での生活をするときに、大きな声で言ったり、怒ったりしないと伝わらない場合など、
「普通のお声でお話をしている時に耳を傾ける」という習慣が身についていない場合があります。
→日常生活の中で、「目と目を合わせて会話をする」習慣を意図していきましょう。
・「次にやること」に意識が向くのが早くて聞くことを忘れてしまう
問題の前半を聞いて、だいたいのやることを理解できてしまうので、設問の後半を聞くことに意識が向かないパターンです。
理解力も高くて、賢いお子さまに多いパターンですが、模試などでは、この拙速が原因で得点が伸び悩むこともあります。
→不正解の原因を伝えて「最後まで聞くことが大事」ということを本人が理解できれば改善します。
・指示内容そのものを理解できていない
真剣に聞こうとしていたとしても、そもそもの指示の内容を理解できていないパターンです。
じっくり説明しても、指示を分割して伝えても、うまく理解できないことが多いです。
学習している単元の内容や、言葉の理解ができていない状態だと考えて良いでしょう。
日常的に、指示が難しく理解できていないので、指示に対して思考停止していることも考えられます。(イメージとしては、外国語の授業の中に放り込まれた感覚に近いかもしれません)
→日常の会話量を圧倒的に増やしてください。お子さま本人のリアクションが薄くても、たくさん話しかけていくことが大切です。やや荒療治に思えるかもしれませんが、ご家庭でのテレビや動画の視聴、スマホの使用を制限して、代わりに絵本の読み聞かせや遊びをすることを半年くらい継続したら改善の兆しが見られるはずです。
聞く習慣が身についていない場合、集団活動の中で聞き取りの力を身につけるのは大変
お子さまの「聞く力(習慣)」が身についていない場合、園生活やお教室などでの活動だけで、聞く力を身につけさせようとするのは、不可能とは言いませんが、かなり大変です。
なぜならば、「聞く習慣がない子」は、集団の中でだと、
「周りの様子を見てマネをすること」で、なんとなく活動をやり通す方法を身につけてしまうからです。
また、大人は「話が聞けていないことで困れば改善するだろう」と思うものですが、
子どもからすれば、いつも話が聞けていないわけですから、それが普通なわけです。
園生活でも、お教室でも、「話を聞けていない」こと自体で、
生命の危険を感じるほどの困難が生じるわけではありません。
なので、「困る」という発想になりづらく、「改善しよう」という意識が生まれづらいのです。
ところが、そのままだと、小学校受験においては困ったことになります。
園やお教室でも「お話を聞くように」といった働きかけは繰り返ししているので、
時間をかければ、「聞く」ことに対する変化も見えてくるのですが、
根本から状況を改善させるためには、ご家庭での心がけと生活習慣(パターン)を変えることが重要であり、最も効果的です。
白紙1枚があればできる聞き取り(指示理解と記憶)力チェック
ここまでお読みいただいて、「わが子は、どのくらい聞く力を身につけているのだろうか?」と気になる方も多いことでしょう。
お子さまの聞き取りの力をチェックするのは、ペーパー学習の課題を使って確かめることができます。
といっても、そのために、「市販の教材を準備しないといけない」というものではありません。
ペーパー学習は、まっさらなA4用紙1枚あれば、取り組むことが可能です。
以下の手順で、お子さまの「聞いて、理解して、記憶する力」が、どのくらい身についているかをチェックしてみましょう。
・A4のコピー用紙を、横にして置きます。

・ペーパーに、できるだけ大きな「ましかく」を鉛筆で描いてください。(基本図形の作図・運筆)

・今、描いた真四角を、同じ大きさ、同じ形の真四角4つに分けるように、鉛筆で線を引いてください。(基本図形の等分)

・左上の真四角のお部屋の中に、赤のクーピーで○を2つかいてください。(右と左、数の記憶)

・右下のお部屋に、赤の○を1つ、青の○を3つクーピーで描いてください。(右と左・数の記憶)
↑あえて、普通の順番ではない「右下」を入れてみました。

・左下のお部屋に、赤の○を3つ、緑の△を2つ、青の○を1つかいてください。(数と形の記憶)

こうした、「指示を聞き取って、その通りに形をかく」という学習は、
指示の内容の理解(形の等分をイメージできているか・右や左が理解できているか)だけでなく、
聞き取った内容を、正確に記憶する力や、その記憶を、作業を行う間、維持しておく力が必要になります。
指示を理解し、記憶する力は、
すべてのペーパー課題で必要となるだけでなく、
指示制作においても、工程の記憶として必要ですし、
運動課題や行動観察などでも、「お約束」の内容を記憶する上で、必要です。
つまり、「小学校受験=聞き取りと記憶の維持」であるとも言えるくらい、
「聞き取りの力」と「記憶の維持」は大切だということです。
家庭でできる「聞き取り(指示理解と記憶)」のためのトレーニング
日常のペーパー学習の教材を使って、「聞き取り」と「記憶」の力を高めるためのトレーニング方法を紹介します。
指示を説明させる練習
まずは、説明の内容を、「正しく聞き取れているか」が重要です。
そのためには、ペーパー学習に取り組む際に、時々、
「今の問題は、何をしたら良いか説明して。」
と、(問題に取り組む前に)設問の内容を説明してもらいます。
「はじめ」の合図がある時点で、「何をすれば良いか」が分かっているかどうかは、
設問が読まれた後、即座に、その内容を説明(正確な復唱である必要はない)ができるかで、確認をすることができます。
内容は理解できていても、言葉で説明をすることが難しい、という場合もあるでしょう。
そういった場合は、自分が理解できている内容を、言葉で説明するというチャレンジを繰り返すことで、
口頭試問にもつながる「説明をする力」が身についていきます。
ペーパー課題に取り組む前に、
「今日は、先に問題の説明をしてもらってから答えを書くお勉強をしようね」と事前に話をしておけば、
「注意深く聞く」という意識も高まるでしょう。
(これは、「今日の授業の内容は、あとでテストします」というと覚える意識が高まるのと同じ法則を利用しています。)
この際のポイントは、
「いきなり、難しい内容から説明させようとしない」ということです。
たとえば、「左上に赤い○を2つかいてください。」くらいのレベルから取り組んで、
それがうまく説明できるようになったら、色や形のバリエーションを増やしていきます。
(あくまでも、ひとつひとつ階段を上がっていくことが重要です。いきなり難問に取り組むというのは、「地上から2階の窓に飛び込んでください」というようなものです。)
記憶保持のトレーニング
設問の内容を理解できて、自分の言葉で説明する力も身についていたら、
設問を読んでから、「問題の内容を説明してもらう」までに、1〜10秒ほど、時間をあけてから、説明をしてもらうようにします。
「問題を聞いていた瞬間は覚えていたのに、答えを書いている途中に、何をすれば良いかわからなくなってしまった。」ということは、
ペーパー学習に取り組んでいく中では、よくあることです。
(数を数える「計数」の問題などで、よく見られます。)
これは、記憶の内容を、一定期間、頭の中にとどめる力を身につけることでクリアできる課題です。
先ほどの、「設問の内容を説明する」際に、
設問から一呼吸、ふた呼吸おいて、
それから、説明できるかの練習をします。
こちらのポイントも、
「急に、長い時間を開けないようにする」ということです。
まずは、1秒の時間をあけて、
それができるようになったら、2秒、3秒、と徐々に時間を増やしていきましょう。
(秒数は、正確である必要はなく、体感の秒数で構いません。)
内容を記憶にとどめる力がついていけば、
お教室などでペーパーに取り組んでから、答え合わせをするまで10分以上の時間が空いていても、
正確に設問の内容を説明できるようになりますし、
実際の試験本番が終わった後に、
その日の課題の内容を、ひととおり説明することも、できるようになっていきます。
イメージ化のトレーニング
今日ご紹介している記憶の練習は、
短文復唱のように、耳で聞いた「音声情報」を、そのまま言葉として記憶するのではなく、
聞いた内容をイメージしながら、聞くようにします。
(短文復唱は、意味が分かっていなくても記憶し復唱することができます。むしろ、「パンダの坊やは、パンが大好きです。」の復唱をする際に、パンを食べているパンダの子を鮮明にイメージしながら復唱している人は少ないはずです。)
たとえば、先ほどの問題の続きで、

「右上のお部屋に、青の△を2つ、赤の○を1つ、緑の×を3つ、クーピーでかいてください。」
という問題が出たとします。
その設問を聞く際に、
設問を聞きながら、指示をされた場所に、答えがかかれていくイメージをします。
今回の例で言えば、
「右上のお部屋に、

「右上のお部屋に、青の△を2つ、

「右上のお部屋に、青の△を2つ、赤の○を1つ、

「右上のお部屋に、青の△を2つ、赤の○を1つ、緑の×を3つ、

というように、
設問が読まれている時に、
ペーパーの該当の位置(右上のお部屋)に、書く形をイメージしていきます。
視覚的なイメージをしながらお話を聞くことで、
より、正確に内容を理解し、記憶に留めることが可能になってくるでしょう。
こうした「イメージする」力は、ペーパー学習でなくても身につけられます。
たとえば、毎日の「読み聞かせ」の時間などで、
お話の内容を、頭の中でイメージしながら聞くことなどでも、
「聴きながらイメージする」力は鍛えられていきます。
小学校受験での課題は、全てが口頭でなされますので、
「聞いて、イメージし、理解する」経験を、様々な学習を通して積み重ねていけば、
たとえ今、お話の聞き取りが苦手だと感じたとしても、
どんどん、力がついていくはずです。
今、「できないこと」があっても構わない。
「できないこと」は、いずれ、「できること」へと変わっていきます。
そうした、成長の1コマを実感できる日が来ることを楽しみにしながら、
日々、楽しく学習を積み重ねていってください。
小学校受験の土台づくりから本番対策まで、一貫してサポートしています
当協会の定期教室では、
・ご家庭の学習環境の整え方
・出願準備(願書・写真・服装など)の進め方
・個々の課題整理と優先順位の明確化
・直前期での本番を見据えた仕上げと最終調整
まで、一貫してサポートしています。
小学校受験は、「何をやるか」以上に
「どの順序で準備を進めるか」で結果が大きく変わります。
もし、小学校受験の準備について
・このままの進め方でよいのか不安
・何を優先すべきか整理したい
という場合は、以下より詳細をご確認ください。