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小学校受験のお約束「隣を見ない」を守れるようにするために、お父さま、お母さまが意識できること。

お教室で、「隣を見てしまう」癖をどうにかしたい。

 

小学校受験のペーパー課題には、いくつかの「お約束」があります。

 

お声を出さずに設問を聞き、問題に取り組むこと

姿勢を整えて着席すること

「はじめ」と「やめ」の合図を守ること

隣の人を見ないで取り組むこと

・間違えた時の訂正方法を守ること

 

ルールを守って課題に取り組むことは、

ペーパー問題に全問正解することよりも大切です。

(もちろん、上記の「お約束」は、ペーパー課題に限らず、受験中の課題全般を通して守るべきことです。今回は、例として「ペーパー課題」をイメージしながら、説明を進めていきます。)

 

特に、「隣の人を見る」というのは、

いわゆるカンニング、不正行為として、

即失格となりうる行為です。

 

 

ところが、

お教室で授業をしていると、

隣の人を見るお子さまというのは、ごく少数、というわけではありません。

 

 

「隣を見る」ということが癖づいてしまうといけませんから、

これは、学習の初期の段階から、早めに指摘をして、修正をしていくようにしていかないといけません。

 

 

厄介なのは、

この「隣を見る」癖は、急に治る、というわけではない、ということです。

 

直前期のお教室で、「隣を見ない」というルールが理解できていないお子さまが、

その場で何度指摘をしても、まったく改善する様子がない、といったような事例もありました。

こうなると、たとえ抽選に通過したとしても、もはや受験の土俵に上がることができていない状態です。

講習中の短時間では、さすがにどうすることもできず、私も困ってしまいました。

 

ご家庭でも、お教室でも、

繰り返し、繰り返し「隣を見ない」ことの意味と価値を伝えていって、

お子さまが、正しい姿勢を意識し、そして定着していくようにする必要があります。

 

 

 

家庭学習だけでは、「隣を見る」癖は発現しません。

 

この「隣を見ない」というお勉強のルールについては、

ご家庭や、園での教育活動では身につけづらいところです。

 

なぜなら、

ご家庭で、「同じ教材を誰かと一緒に取り組む」という経験は、

双子のご兄弟で一緒にお勉強をする、という場合以外には、なかなか起こりえないからです。

 

また、幼稚園や保育園などでお勉強をすることがあったとしても、

「小学校受験」を強烈に意識した指導をしていない限りは、

「隣を見ない」ことについて、そこまでこだわることはないはずです。

(人数が多いお教室であれば、多数の園児が隣を見ている状況にあるでしょうから、一人ひとりに細かく指導をしようとしても、そもそも難しい、という状況もあります。)

 

 

そのため、

家庭学習のみでお勉強を進めてきたお子さまが、

直前期にお教室に通ってみて、慣れないお約束に戸惑う、ということも起こりえます。

 

 

受験の本番に「隣を見る」ことを防ぐためには、

お教室の中で、正しい「型」を身につけられているか確認していくことが重要です。

 

 

 

「隣を見る」の2パターン

 

お教室で、「隣を見てしまう」お子さまの心理・状態としては、大きく以下の2パターンがあります。

 

ひとつは、「問題の意味や答えが分からない」ことから、隣のお友だちの解答を確認してしまう場合。

これは、お勉強が苦手な場合や、解答が不安な場合です。

 

もうひとつは、自分の解答が終わった後に、「隣のお友達はできたかな?」と、好奇心や興味本位で隣を見てしまう場合。

これは反対に、お勉強が得意で、解答に自信があるお子さまでも、「隣を見る」可能性があることを意味します。

 

 

いずれのパターンでも、「隣を見る」という心理・行為にいたる原因があります。

 

原因が明確ならば、対策もイメージしやすいです。

 

ご家庭で学習を進める際にも、

お子さまの「考え方の癖」を作っていくための「反応」や「声かけ」を意識・工夫することで、

「隣を見ない」状態を作っていきやすくなります。

 

 

①問題の意味や答えが分からなくて隣を見る場合の心理と、対処法

 

問題が分からなくて隣を見てしまう理由は、

簡単にいうと、「隣を見ない」というお約束よりも、

「問題に正解する(=ペーパーに「マル」をつけてもらう)」ことを優先したいからです。

 

あるいは、「間違えたくない(「バツ」をつけられたくない)」という思いからかもしれません。

 

もちろん、それはお子さまにとっての自然な感情でもあるのですが、

こういった考え方を補強する方向に働くのが、

お父さまやお母さまが「できたときに褒め、できなかったときに否定する」といった対応をしている場合です。

 

 

「お教室で、隣を見てしまうことについてどうしたら良いですか。」

 

このようなご質問を受けたときには、私はまず、

「できたときに褒めるのを半分くらいに抑えて、代わりに、うまくいかなかったときに褒めるのを倍にするように意識してみてください。」

といった趣旨のことをお伝えします。

 

 

問題に正解したら嬉しいのは当然のことですし、

もちろん、親子でその喜びを共有することは良いことです。

 

しかし、それだけとなってしまった場合、

「不正解となったとき」に、自分が否定されるかのような感覚に陥りやすくなるかもしれません。

 

「できた」を褒める代わりに、うまくいかなかったときにこそ、

「今、最後まで諦めずに真剣に考えられていたね。」とか

「途中のこの部分までは理解できていたね。」といったように、

不正解の中でも「できていたこと」を見つけて、褒めるようにします。

 

 

そうすることで、「不正解」であることのストレスを、いくらか軽減することができます。

 

 

もし、お子さまがお教室で隣を見てしまうことの理由が、

「間違えているペーパーがあったら、後でお父さんやお母さんに「なんでできなかったの?』と詰められてしまうから。」

だったとしたら、お勉強そのものも辛いものとなっているかもしれません。

 

 

「正解=マル・不正解=バツ」という二元論、オールorナッシングの思考は、

少なくとも、お子さまのお勉強と向き合う際は、いったん、わきに置くようにしましょう。

 

 

 

②解答後に、隣を見てしまう場合の対処法

 

反対に、自分が問題に解けた後に、周りを見渡してしまう、という場合も、

少数派ではあるものの、確実に存在しています。

 

この場合は、お子さまは少なくとも制限時間に余裕を持って答えを書ききっているわけです。

ある程度、しっかりとお勉強を積み重ねてきている状態である、とも言えるでしょう。

 

 

お教室での指導では、

「答えを書き終わった後は、『みなおし』をしましょう」

ということをお伝えしています。

 

つまり、問題がスムーズに解けた後に必要なのは、

「解答に不備がないかを、時間いっぱい確認する姿勢」ということになります。

 

ちなみに、この姿勢は、小学校に入学した後の学習でも有効です。

 

特に、お勉強が得意な子の場合、

学校の「テスト」も、ときに時間を余らせて解き終わる、ということはあるはずです。

 

そんなときに、2度、3度、……、と問題を解き直したり、

別の角度から解答を検証することができれば、

「ケアレスミス」が減るだけではなく、

テストの時間の中でも、周りの2倍、3倍の学習をすることが可能となってくるのです。

 

ペーパー学習や「テスト」の時間に対して、

このように、時間を使い切って取り組むという姿勢を身につけておくことは、

小学生以降の学力の「伸び」や「深まり」にも繋がります。 

 

 

また、「他者との比較」で評価していることも、周りを確認する理由になりえます。

 

これは前述の「できる」「できない」軸での評価とも通じるのですが、

お子さまを褒める際に、誰かとの「比較」をしながら褒めている場合も、注意が必要です。

 

「誰もができていないのに、できてすごいね。」といった形での褒められ方をしている場合、

ペーパーに解答できたときに、それが賞賛に値することかを確認するためには、

周りの様子を確認するしかありません。

 

結果、見直しができずに失点する、ということにもなりかねません。

 

 

他者との比較ではなく、

自らの取り組み姿勢が最善を尽くせているかを、評価の基準とできると良いでしょう。

 

 

解答後の「みなおし」もご家庭で練習を。

 

また、ペーパーの解答時間に余裕を持って解答できる場合、

当然、ご家庭の学習でも「やめ」の前に答えを書き切っていることが多いはずです。

 

そうした場合、「やめ」の合図の代わりに、

お子さまの「できた」の合図(例えば、自らペンを置いたり、お母さまの顔を見るなど)で、ペーパーの問題が終わっていることも多いのではないでしょうか。

 

これが、「解答後に顔を上げる」癖として定着している可能性もあります。

ペーパーの設問に、目安となる解答時間が記されている場合は、

あえて、その解答時間(近く)になるまで、「やめ」の合図を待つようにして、

お子さまが、解答後に「みなおし」をする練習も、できるようにしてみましょう。

 

 

こうすることで、「見直し」の習慣を定着させることは、

ペーパーの解答がスムーズにできているお子さまであれば、それほど難しいことではないはずです。

 

 

まとめ

 

小学校受験の本番で、「隣を見る」ことを防ぐために、準備段階で気をつけることを書いていきました。

今回のポイントを、箇条書きにしてまとめます。

 

・ペーパー学習で「隣を見ない」ことは、お教室だからこそ確認できるポイント

・ご家庭での学習でも、「隣を見ない」ようになるための意識や工夫をすることができる

・「正解」「不正解」による評価を弱める

・お子さまの「取り組み姿勢」を評価するようにする

・他者との比較による評価を減らすようにする

・早くに解答できた場合も「みなおし」の練習をするようにする

 

ご家庭でのお勉強と、お教室でのお勉強を効果的に組み合わせて、

小学校受験の「お約束」を守れる状態を整えていきましょう

 

 

 

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