ネガティブな感情は、まさにいわゆる「虎穴」かもしれません。
「お勉強をやりたがらない」事例から思うこと。
定期教室ご参加の皆様から、ご家庭でのお勉強の進め方についても時々ご質問をいただくことがあります。
そんな中で、「わが子が、特定のお勉強(たとえば「ちぎり」とか「ペーパーの図形問題」とか)をやりたがらない」というご質問がいくつかありました。
そこで今回のブログでは、
お子さまの「やりたがらない」に対する捉え方と、その対応方法について、少し書いていきます。
感情には「プラス」と「マイナス」がある!?
私たち人間は、
生きている中で、さまざまな感情を感じています。
その感情は、ある出来事によって引き起こされて、
感情が、さらに次の行動や出来事を引き起こしていきます。
その「言動」と「感情」の因果関係を読み解いていくのが、
国語の「物語文(小説)」の文章読解だったりするわけです。
が、こういった文章読解についての話は小学生以降の学習の話なので、
ここでは取り立てて深く掘り下げようとはしません。
そうは言いつつも、
もう少しだけ、小学国語の「物語文」について触れつつ、話を進めさせてください。
この「物語文」の読解の中に、
「心情語」を選ぶような設問が出されることがあります。
たとえば、
問)下線部の時の主人公の心情を、次の中から選んで記号で答えなさい。
ア うれしい イ かなしい ウ くやしい エ さみしい
といったような問題です。
それぞれの感情を表す言葉を理解できていたら、すんなり解答をすることができるのですが、
感情を表す言葉について、特に低学年の子の場合、適切に言語化することが難しいという子も多いです。
(ですから、お子さまの感情を言語化してあげることは、小学校受験を抜きに、周りの大人が心がけてあげるのが良い、とも言えます。)
そこで、こうした問題に正しく答えるための手段として、
選択肢を絞るために、こうした質問をすることがあります。
「この時の主人公の気持ちは、良い気持ち?それとも良くない気持ち?」
言い換えると、「プラスの感情」か「マイナスの感情」かを考えるようにします。
先ほどの例で言えば、
「ア うれしい」は、プラスの感情であると言えそうですが、
残りの3つの感情は、マイナスの感情というふうに考えられそうです。
その時の感情が、プラスなのかマイナスなのかが分かれば、選択肢を大きく絞ることが可能になりうる、というのが、
心情語に関する問題に正解しやすくなるための、考え方のちょっとしたコツです。
ですが、こうした感情を「プラス」「マイナス」で分ける、という考え方について、
「それって、本当だろうか?」という疑問を感じるようになってきました。
確かに、「悲しい」「悔しい」「寂しい」といった感情は、
「マイナス」の感情と言っても良いでしょう。
ところが、
これらの感情の一切が、「マイナス」の側面しか持ち合わせておらず、
それは感情として避けるべきであり、避けさせるべきである、と言われると、
果たして、そうなのかな、と思えてしまうのです。
「マイナス」の感情の中に、あえて飛び込む。それは、ほめるに値することです。
たとえば、わが子が、ちぎりを「やりたがらない」ということは、
「ちぎり」という作業をすることに、
「面倒だなあ」とか
「嫌だなあ」といった感情を持っている、ということになるのでしょう。
これを、「面倒だ」とか「嫌だ」と思わないようにするには、どうしたら良いのか、ということを考え、
取り組み方を試行錯誤し工夫することは、もちろん、追求していってほしいところです。
ですが、仮に、「嫌だ」という気持ちがそこにあったとしても、
その気持ちを避けて回るのではなく、
あえて、その気持ちの中に飛び込んでみる、という経験をすることも、
ひとつの学びであり、成長にもつながるはずです。
お勉強が「好き」「やりたい」という状況は、諸手を挙げて歓迎したい状況ですが、
「嫌だ」「やりたくない」という状況にも、「いいね」という肯定をすることができると、
毎日のお勉強の柔軟度が、さらに高まり、
どんどん、前向きにお勉強に取り組んでいくことができるようになるはずです。
たとえば、「ちぎりは、やりたくない。」とわが子が言った場合について、考えてみましょう。
私だったら、このような対応を試みます。
「やりたくないの?そっか、そういう時もあるよね。じゃあ、今日は、ちぎりは簡単なのを、ちょっとだけにしよう。」
お子さまの言葉を、「受け止め」「肯定し」「譲歩する」。
その中でも、「ちょっと」のラインは譲っていないのがポイントです。
ちぎりの「ちょっと」は、お子さまにもよりますが、
「折り目をつけた折り紙を、縦にちぎる」程度で良いでしょう。
それだと雑にすませてしまって練習にならないお子さまなら、折り紙は四つ切りサイズの小さいものにしてもよいでしょう。
「その代わり、線の上を丁寧にちぎる」ことを意識して取り組むようにします。
そして、その「ほんのちょっと」が終わった時がポイントです。
「すごいね、やりたくない、って思ってたのにやりきったね。」
「やっぱり、〇〇(お子さまの名前)は心が強い(ガッツがある/たくましい)なあ。」
「お父さん(お母さん)が子どもの頃よりもすごいかもな。」
「そんな〇〇のことを、誇りに思ってるよ。」
と、心から伝えます。
せっかく頑張って取り組んだのに、
「ほら、ちぎりが雑じゃない。もう一回!」
などとやってしまうのは、ご法度です。
その代わりに、
「こうやって、毎日ちぎるのを繰り返していったらさ、そのうち、ちぎりマスターになって、ちぎりチャンピオンになっちゃうね。(表現は、刺さりそうな表現を見極めていってください。)」
「そしたら、製作の作品づくりで、お手本みたいにカッコいい作品が作れちゃうかもしれないよ?」
などと、前向きな近未来を予言するようにします。
(「予言型のほめ」については、過去記事『予言型の「ほめる」を活用していきましょう。』もご覧ください。)
「今日もできたね。」
「今日もやっちゃったよ?」
「しかも、難しいちぎり取りをやり切っちゃったね。」
「これで、7日連続だよ!」
などと、
繰り返すたびに、その達成を確認するようにします。
そして、最後には、
「お勉強に取り組んだという事実」ではなく、
お勉強に対して、「真剣に集中して頑張ったという姿勢」をもって、お子さまを認めるようにしてみてください。
継続への、よいリズムが作っていけるかもしれません。
お子さまの「やりたくない」を嫌わないで
「やりたくない」と思うものを、
首に縄をつけてでもやらせる。
これは、好ましいとは言えません。
ですが、
「やりたくない」と思うものを、
それでも、やってみた、という行為そのものは、
まさに「努力」と呼ぶにふさわしいでしょう。
そして、そんな「努力」を積み重ねていったときに、
それは「努力」とは感じないほどのものに変わっていることでしょう。
こうした一連の経験は、ひょっとしたら、
受験の「合格」を得ることよりも価値があることにもなりうる、貴重な「成功体験」です。
お子さまの「やりたくない」は、
ゆくゆく、お子さまが、そんな後ろ向きな気持ちを自力で乗り越えて、大きなことを成し遂げていけるようになるための、
小さなチャンスかもしれません。
お申し込み受付中の講座
国立小受験 対策 夏期オールインワン講座
対象:年長の皆様
日時:8月27日(土)8:30〜10:30
受講料:12,000円(税込)
講師:藤田
会場:四ツ谷教室
お申し込みは、夏期講習のお申し込みページより、必要事項をご入力の上、お申込みください。
秋季講習
秋季講習の詳細については、『秋季講習のご案内』のページをご覧ください。
①製作・巧緻性講座:9月19日(月祝) 9:00〜10:30
②秋季・運動講座:9月19日(月祝) 11:00〜12:00
③秋季オールインワン講座:9月23日(金祝) ①8:30〜10:30 ②11:00〜13:00
※①②ともに同じ内容の講座です。
④筑波小対策 図形課題集中特訓:9月24日(土) 9:00〜10:00
お申し込みは、秋季講習のお申し込みページより、必要事項をご入力の上、お申し込みください。
年長・絵画制作講習
対象:年長の皆様
日時:9月24日(土) 10:30〜11:50(講評含む)
10月10日(月祝) 11:00〜12:20(講評含む)
定員:6名(最低催行人数2名から)
受講料:9,000円(税込)
講師:清水先生
会場:四ツ谷教室
お申し込みは、秋季講習のお申し込みページより、必要事項をご入力の上、お申し込みください。
金生先生の行動観察講座
対象:年長の皆様
日時:9月10日(土) ・10月8日(土) ・11月12日(土) ①8:30〜10:00 ②10:30〜12:00
※①②ともに同じ内容の講座です。
受講料:各回10,000円(税込)
講師:金生先生
会場:四ツ谷教室
お申し込みは、金生先生の行動観察講座のお申し込みページより、必要事項をご入力の上、お申込みください。
秋の個別指導講座
詳細は「個別指導」のページをご覧ください。
対象:年長・年中の皆様
日時:火・水・木10:00〜18:00(1.5時間/2時間/3時間)※平日は1時間の指導は実施せず
日曜13:30〜18:00(1時間/1.5時間/2時間/3時間)
受講料:1時間…9,000円(税込)
1.5時間…13,000円(税込)
2時間…17,000円(税込)
3時間…24,000円(税込)
講師:大場先生:ペーパー補習、巧緻性、お話の聞き取り、口頭試問、暁星小学校対策
清水先生:絵画制作 巧緻性
会場:四ツ谷教室
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