「かぞえる」問題であわせて勉強していきたい、「助数詞」の話
今週は、先週と打って変わって、暖かい日が続いています。
あっという間に、春の陽気です。
近年、季節の移り変わりに、意識が追いつかないことが、増えてきました。
ついこの前まで、記録的な猛暑だったような気がするのに……。
子どもたちにとっては、そんなことはないはずです。
四季の変化を、新鮮な体験として、一緒に感じられたらなあ、と思っています。
さて、先日の幼稚園の授業でのことです。
「数の多少」について、「どちらが多いですか」というペーパー問題に、一緒に取り組んでみました。
数の多少については、それぞれのお部屋にあるものの数を、正しく数える(計数)ことが必要になります。
(あわせて、「ぱっと見」での多さを、感覚的に把握する力も重要なのですが、今回の主題ではないので割愛します。)
その中で、「食パン」の絵が描かれている問題があったので、
わからないこと前提で、聞いてみました。
「食パンは、どうやって数えればいいですか?」
すると、前列にいた女の子が、すかさず「1斤」と、答えてくれたのです!
まさか、年中さんで「1斤」を答えられるお子さまがいるとは!と、感動のあまり、持っていたホワイトボードマーカーを落としてしまうほどでした。
りんごは、「1こ、2こ、3こ、……」で、バナナは、「1ぽん、2ほん、3ぼん、……」
このような、ものを数えるときに、数の後ろにつける言葉を、「助数詞(じょすうし)」といいます。
数をかぞえる問題に取り組む機会は、受験の問題に取り組む際も、たくさんあります。
その際には、せっかくなので、この助数詞を、あわせて覚えていくと、いいと思います。
助数詞をあわせて覚えるメリットは、大きく2つ。
ひとつめは、「お話の内容理解」で数の説明が出たときに、スムーズに理解ができるほか、口頭試問や個別課題でも、数を答えることがあるかもしれない点です。
もうひとつは、小学校に進学した後の「算数」で、文章題の答えを書くときに、助数詞を入れて答えることが、すんなりできる点です。
数の問題に触れる機会に、せっかくなので、助数詞についても、触れていけるようにすると、一石二鳥です。
その際は、ぜひ、助数詞をつけて、1から10まで、声に出して数えてみるようにしましょう。
その場で覚えよう、とまではしなくて大丈夫です。
なんども、何度も繰り返す機会がありますから、気がついた頃には、完璧にマスターしているでしょう。
覚えておきたい、基本の数え方
お勉強をする上で、覚えておいて損はない、基本の数え方(助数詞)を、いくつかご紹介していきます。
「〜個」【いっこ、にこ、さんこ、よんこ、ごこ、ろっこ、ななこ、はっこ、きゅうこ、じっこ】
りんご、みかん、ボール、など、多くのものを「〜個」で数える機会が多いので、まず覚える数え方ではないでしょうか。
「10個」は、「じゅっこ」と数えたくなりますが、厳密に言うと「じっこ」と言うのが正しい数え方です。
「〜個」とは別の数え方
あわせて「〜つ」【ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、ここのつ、とお】も、繰り返し発話して、覚えていけるといいでしょう。
「3つ」「5つ」「6つ」「8つ」「9つ」あたりが、はじめは「さんつ」「ごつ」「ろっつ」「はっつ」「きゅうつ」となりがちです。
「〜本」【いっぽん、にほん、さんぼん、よんほん、ごほん、ろっぽん、ななほん、はっぽん、きゅうほん、じっぽん】
えんぴつ、バナナ、かさ、など、細長いものを数えるときは、「〜本」です。
「〜匹」【いっぴき、にひき、さんびき、よんひき、ごひき、ろっぴき、ななひき、はっぴき、きゅうひき、じっぴき】
動物を数えるときに使います。
「〜本」や「〜匹」は、数によって読み方が変わる(「ほん、ぼん、ぽん」「ひき、びき、ぴき」)ところが、少し難しいところです。
法則を理解するというより、繰り返し発話していくことが、覚えていく近道です。
「〜人」【ひとり、ふたり、さんにん、よにん、……、じゅうにん】
人を数えるときは、「〜人」です。
「一人、二人」の読み方が特殊ですが、日常で使うことも多いので、覚えやすいでしょう。
「〜羽」【いちわ、にわ、さんわ(さんば)、よんわ、……、じゅうわ(じっぱ)】
鳥を数えるときは、「〜羽」です。
鳥以外にも、うさぎも、「〜羽」という数え方で数えます(「〜匹」でも間違いではないです)。
「〜枚」【いちまい、にまい、さんまい、……】
ペーパーなど、薄いものを数えるときは、「〜枚」です。
前述の食パンについても、スライスしたものは「〜枚」で数えます。「4枚切り、6枚切り、8枚切り」などあるのでなじみが深いかもしれません。
他には、シャツなども「〜枚」で数えます。
他にも、
コップの水は「〜杯(はい)」(イカやカニも、お店に出たら「〜杯」です)、
車は「〜台(だい)」、
本は「〜冊(さつ)」、
お花は「〜輪(りん)」、
椅子は「〜脚(きゃく)」、
ライオン、ゾウ、くまなど大きな動物は「〜頭(とう)」、
ボートは「〜艘(そう)」(あるいは「〜艇(てい)」)で、大きな船は「〜隻(せき)」、
豆腐は「〜丁(ちょう)」、食パンは「〜斤(きん)」、
ハサミは「〜挺(ちょう)」、
家は「〜軒(けん)」、マンションは「〜棟(むね・とう)」、
タンスは「〜棹(さお)」、
……、
日常生活の中でも、いろいろな数え方があふれていますね。
「助数詞」のお勉強は、受験の最重要課題ではありません。
こうした、数え方については、受験においてそれ自体が聞かれるということはないでしょう。
(あるとすれば、数え方で仲間分けをする問題などでしょうが、少なくとも、これまでにそういった問題は目にしたことがありません。)
ですから、数え方については、「覚えさせよう」という意識でとりくむ必要までは、ありません。
教え込むよりも、日常に溢れるものへの「数え方」に、自然に興味を持つような触れ方をしていくのが、むしろ良いと思います。
「いろいろな数え方があるんだな」というくらいにとどめておくと、
お子さまの方から、「これは、どうやって数えるのかな?」と興味を持つようになります。
たくさんの、ものの数え方について触れておくことは、ゆくゆくの人生を支える「教養」のひとつになっていきます。
普段のペーパーでも、ただ、その問題を取り組むだけでなく、ついでに数え方について聞くなど、
別の角度から、学びを深めることも、できていくと思います。
また、あえて質問をしないまでも、お話をするときや、問題を読むときに、意識して、助数詞をつけた数え方でお話をすることもできます。
ぜひ、普段の生活やお勉強の中で、意図した「プラスアルファ」を、さらっと、組み込んでみてください。