「お手伝い」のススメ。〜お子さまの成長を加速させるために〜
今日の都内は、とても暖かい1日でした。
寒かったり、暖かくなったり、また寒くなったりと、寒暖の差が激しい日々が続いてます。
都内にお過ごしの皆様、どうぞ、くれぐれもご自愛ください。
さて、先週のことです。
授業にてご一緒させていただいた年中さんのお子さまたちに、こんな質問をさせていただきました。
「お手伝い」って、どんな意味ですか?
言葉の意味を説明する、というのは、その意味をなんとなく理解するよりも、はるかに難しいことです。
ですから、逆に言葉の意味を説明できているなら、その言葉の意味を、完璧に理解できている、ということにもなります。
「お手伝い」とは何か?
読者の皆様なら、もし、これをお子さまに説明するとしたら、どのように説明するでしょうか。
言葉の意味を説明するのは、大人でも、意外と難しいことです。
そんな中で、ひとりの女の子が、大人顔負けの、素晴らしい説明をしてくれました。
そのお子さまは、
「ママやパパが忙しい時に、代わりに何かやってあげること。」
と、淀みなく説明してくれたのです。
それを聞いた時、
「ああ、きっとこの子のご家庭では、そういうシチュエーションで、お母さまやお父さまが、お手伝いをお願いしてくれてるんだろうなぁ。」
と、感じずにはいられませんでした。
おうちで、どんなお手伝いをしたことがありますか?
続けて、そんなことを聞いてみました。
たくさんのお子さまが、自分がしたことのあるお手伝いを、紹介してくれました。
「洗濯物を干すお手伝いをしたよ。」(結構な重労働ですが、数名のお子さまがやったことがあるそうです。)
「○○くん(自分)の包丁で、りんごとかを切る!」(子供用の包丁がある、というのも、素晴らしいなと感じました。)
「家を洗う!」(どうやら、ご自宅の外壁の洗浄をお手伝いしたそうです。大掃除の時のことでしょうか。)
「お皿を運ぶお手伝い。」(いっしょに、配膳の仕方もお勉強されたのかな、と思いました。)
「お洋服をたたむ。」(恥ずかしながら、私自身は、幼少期にお洋服をたたむことができませんでした。)
中には、
「僕は遊んでいるだけ(で、お手伝いはやったことない)。」ということを教えてくれたお子さまもいました。
ですが、かなりたくさんのお子さまが、色々なお手伝いを経験して、そのことを覚えているということは、とても素晴らしいことだと感じました。
あらためて、素晴らしいご家庭のお子さまたちをお預かりしているのだな、と感じさせられました。
ここで言いたいのは、何も「お手伝いをさせていないことが悪い、間違っている」ということではありません。
私自身、就学前に、何かのお手伝いをしていた記憶は、正直なところ、ありません。
(むしろ、父から「もっとお手伝いしてもいいんじゃないか」と言われていた記憶があるくらいですから、仮にしてたとしても、たいしてお手伝いもしていなかった子どもであったはずです。)
ですが、お子さまたちに、お手伝いについて聞いてみて感じたことは、
「お手伝い」をすることの効果でした。
今回感じた、「お手伝い」の効果は、大きく2点です。
「お手伝い」の効果①:生活課題や、手先の巧緻性などが身につく
子どもたちにとって、「お手伝い」そのものが知育であり、「お手伝い」そのものが受験にもつながるお勉強になる、ということです。
例えば、「洗濯物をたたむ」というお手伝いをしていたら、
いつの間にか、「洋服のたたみ方」をマスターすることができます。
(洋服のたたみ方については、小学館さんの『せいかつの図鑑』を参照されるのがベストだと思います。)
「お料理のお手伝い」をしていたら、
野菜を切った時の断面図も、見て学ぶことができますし、
根菜と葉菜の違いにも、触れることができるかもしれません。
季節のカードや図鑑を使った学習だけでなく、実物を見ながら、季節の野菜についての理解を深めることもできるでしょう。
受験でも問われる生活課題の問題や常識問題についての学習が、
机上の学習だけでなく、お手伝いを通して学ぶことができる、ということです。
日々の生活をしていたら、どうしても家事に割かなければならない時間を、
親子での学びの時間にできてしまう、というのは一石二鳥でもあるかもしれません。
「お手伝い」の効果②:お子さまの自尊感情・自己肯定感を育む
じつは子どもたちは、「お手伝いしたい!」と思っていることが多いです。
なぜ、そのように言えるかというと、
授業の際に、「先生のお手伝いしてくれる人!」と聞くと、
どこの教室でも、ほぼ例外なく、大半のお子さまが手を上げてくれるのを見ているからです。
(お子さまたちが、お手伝いをしたい!と言ってくれるのを聞くと、とても嬉しい気持ちになります。)
むしろ、積極的にお仕事をしたがるお子さまが、たくさんいらっしゃいます。
「お手伝いしたことない。」というお子さまも、その例外ではありません。
「頼られると嬉しい」
「人の役に立ちたい」
という思いは、小さなお子さまも、持っている共通の感情のようです。
そして、大人から頼られて、お手伝いが「できた!」ということが、
ひとつの成功体験になっていくように感じました。
お手伝いをして、お母さまやお父さまから「ありがとう」と感謝されることでも、
「自分はできる。」という思いを強くしているようにも感じます。
私が関わらせていただいているお子さまたちは、世の中の子どもたちの、ごくごく一部ですから、
これだけで断定的なことは言い切れないのですが、
お手伝いをしているお子さまの方が、そうでないお子さまよりも、自尊感情や、物事に取り組む粘り強さが身につきやすいと、言えるかもしれません。
(あくまでも仮説段階でしかありませんので、もし、今後検証ができたら、あらためて発表していけたらと思います。)
「お手伝い」の有無を抜きにしても
実際に、ご家庭でお手伝いをしているか、していないか、に関わらず、
「お子さまを子どもあつかいしない」ことは、お子さまの自尊心や、成長を促進するのではないか、と考えています。
「所詮5歳の子どもだから」と思うのではなく、
「立派な、小さな大人の一員」であるかのように接すること。
四六時中というわけにはいかずとも、そうやって、子どもが「大人」に近づける時間を、どれだけ作れるかは、
お子さまの、さらなる成長の原動力になると信じてやみません。
お勉強の時間に、お子さまを先生にするというのも、そのひとつの機会です。
ご家庭の中でも、ぜひ、お子さまがヒーロー、ヒロインになって、学びを深められるような「お手伝い」の時間を、ぜひ企画してみてください。