受験

MESSAGE

お⼦さまと国⽴⼩学校の受験に取り組むあなたへ

有意義な国⽴⼩受験を実現するための「藤⽥先⽣からのメッセージ」

⼀般社団法⼈⼩学校受験協会
代表理事 藤⽥和彦

0)はじめに

国⽴⼩合格の必携資料をお申し込みいただき、ありがとうございます。お⼦さまと⼀緒に、国⽴⼩学校の受験を考えている保護者の⽅に向けて、⼀般社団法⼈⼩学校受験協会 代表理事の藤⽥より、メッセージをまとめました。受験の本番、当⽇までの⽇々を、より有意義に、充実した毎⽇としていただきたいという思いを込めています。
資料をご覧いただいたお⽗さま・お⺟さまにとって、少しでもお役に⽴つメッセージとなれば嬉しいです。

1)なぜ、受験に取り組むのか?

⼩学校受験を考えて、準備を進めようとした時に、最初に、⼤切になることがあります。それは、「なぜ、受験に取り組むのか?」という、そもそもの受験の意義や⽬的を明らかにする、ということです。
今、なぜ、「⼩学校受験」を考えていますか?そして、「⼩学校受験」を通して、お⼦さまや、ご家庭が、どうなることを期待しているのでしょうか?
もしかしたら、その答えは、「国⽴⼩学校に通うことで、質の⾼い(先進的な)学びの機会を得ること」かもしれません。あるいは、「同じように、主体的に学習に取り組む友⼈を作ること」かもしれません。
ひょっとしたら、「いま通っている園のお友達が、受験を考えているから」かもしれないし、「ご家族のどなたかが、実際に⼩学校受験をし、国⽴⼩学校での⽣活を経験されているから」なのかもしれません。
その答えが、どのようなものであっても、それらの「受験の⽬的」は、わが⼦に「楽しい(有意義な)⼩学校⽣活」を送ってほしい、(ひいては、⼩学校の後の⼈⽣においても、⾃⽴したひとりの⼈間として、幸せな⼈⽣を歩んでいってほしい、)といった願いが、あるのではないでしょうか。お⼦さまの将来のために、お⽗さま・お⺟さまが⾏う選択は、「わが⼦の幸せを願えばこそ」であるはずです。
その前提を踏まえた上で、「なぜ、⼩学校受験に取り組むことが、わが⼦の幸せに繋がるのか」について、まずは、ご家族(ご夫婦)の間で、話し合ってみていただければと思います。可能なら、⼩学校受験に取り組むことの意義・⽬的を、明確な⾔葉にして共有しておけると、良いでしょう。なぜならば、今後、受験の当⽇、会場に向かうまでに、この「受験(に向けたお勉強)の意義・⽬的」について⽴ち返り考える機会が、たびたび出てくるからです。
受験についての⽬的や意義について、「ご夫婦の間で、意⾒を⼀致させなければいけない」というわけではありません(ご家庭の中の「多様性」が、時にお⼦さまの救いになることもあります)。ただし、もし「受験に取り組む」というのであれば、その取り組みについて、ご家族の皆様が、何かしらの「意義」を感じていることが⼤切です。そうすることで、ご家庭の中で、「⼩学校受験」が、ご家庭の中でポジティブな取り組みになっていくはずです。
受験の意義について考える上で、国⽴⼩学校のことを知らなければ、受験の⽬的や意義も、イメージしづらいかもしれません。そこで次に、国⽴⼩学校の「⽬的」と、その「特⻑」について紹介します。

2)国⽴⼩受験において押さえておきたい、国⽴⼩の「使命」と「特⻑」

国⽴⼩学校には、公⽴の⼩学校とは異なった使命や特⻑を持っています。国⽴⼩学校の使命は、⼤きく分けて2つあります。
国⽴⼩学校の使命の1つ⽬は、国⽴⼩が、国⽴⼤学附属の「研究実施校」であるという点です。国⽴⼩学校(より正確には「国⽴⼤学附属⼩学校」)では、10年後、20年後の公⽴教育に役⽴てるための研究が⾏われています。国⽴⼩学校の先⽣がたは、それぞれの研究課題を持ち、⽣徒たちとの関わりを通して、その研究に取り組んでいます。そして、その研究の成果を、全国の先⽣たちや教育関係者に発表していきます。国⽴⼩学校では、将来のスタンダードとなっていく可能性がある先進的な教育を受けることができるのです。
国⽴⼩学校が「研究実施校」なので、授業の成果を外部に発表するための「公開授業」の機会が多く設けられます。そのため校内には、多くの教育関係者が出⼊りをします。また、担任の先⽣が、学期中に研究の発表で不在となる機会も、⽐較的、多くなります。先⽣が授業をしない「⾃習」の機会も、公⽴⼩学校と⽐べると多くなる傾向にあります。
国⽴⼩学校の使命の2つ⽬は、「教員養成校」としての役⽬です。⼤学で教育学を専攻する「先⽣のタマゴ」たちに向けて、教育実習をする場としても、国⽴⼩学校が活⽤されています。教育実習⽣が校内にいる期間は、春に約1ヶ⽉、秋に約1ヶ⽉。年間で2ヶ⽉ほどが教育実習⽣と過ごす期間となります。6年間で考えると、合わせて12 ヶ⽉、つまり丸1 年は、「教育実習⽣」の期間となります。教育実習⽣を受け⼊れる期間は、若い「お兄さん(お姉さん)先⽣」たちのエネルギーも加わり、校内は「活気にあふれ、にぎやかになる」そうです。6年間のうちに、様々な先⽣と接していくことは、国⽴⼩学校の⽣徒たちにとって、成⻑の糧となる多様な刺激を受けるとなることでしょう。
上記の「研究実施校」「教員養成校」としての使命を持つ国⽴⼩学校では、結果として「教科書どおりのカリキュラム」とは異なる形で、学習が進んでいくこととなります。そのため、単元ごとで、学習に割かれる⽐重に偏りが⽣じることも、実際に起こっています。⽇常の学習においては、「学校の授業」に任せっきりにせず、ご家庭での学習でカバーしていくことも、想定しておく必要があります。
これらのような、国⽴⼩学校の使命や特⻑を踏まえた上で、実際の⼩学校⽣活をイメージしながら、⼩学校に上がる前の準備を進めていきましょう。

3)国⽴⼩受験と私⽴⼩受験の違い

国⽴⼩学校の特⻑についてまとめた後は、同じ「⼩学校受験」をする中でも、国⽴⼩学校と、私⽴の⼩学校との違いについても触れておきます。(もちろん「国⽴」「私⽴」とひとくくりにすることはできませんが、おおよその違いとして、ざっくり捉えていただければ幸いです。)
まず、⼩学校としての性質の違いについて説明します。国⽴⼩学校は、2)でまとめた通り、それぞれの先⽣が、それぞれのテーマで研究をしています。そのため、「個々の先⽣の裁量が多い」とも⾔えます。
国⽴⼩学校の先⽣がたの中には、書籍を出版されている先⽣や、TV番組をはじめとする教育系のイベントに出演されている先⽣もいらっしゃいます。同じ学校の同じ学年でも、「クラスごとに全く違った授業が展開される」可能性があるのが国⽴⼩の特⻑です。それに対して、私⽴の⼩学校では、その学校の「校⾵」というものが存在します。先⽣も、⽣徒も、その校⾵にマッチすることが求められるのです。特に宗教⾊が強い伝統的な⼩学校ほど、その傾向が強いと⾔えるかもしれません。
上記の性質の違いとも関連するかもしれませんが、国⽴⼩学校と⽐べて、私⽴⼩学校の受験は、⼀⼈⼀⼈の受験者に対して、より、じっくりと試験が⾏われます。例えば、私⽴⼩学校の中では、お⼦さまが受ける課題について、その結果を試験官の先⽣がたが持ち寄って、「この⼦のこんなところが良かった。」「あの⼦はこんなことをしていた。」といった具体的な情報を共有しながら合否の検証をしている、といったことも、あるようです。また、個室での親⼦⾯接が⾏われるところもあります。保護者の⽅も含めた⾯接時のマナーはもとより、ご家庭と学校との教育⽅針がマッチしているかを確かめるためです。
それに対して、国⽴⼩学校の受験(正確には、受験ではなく「考査」であったり「(発育)調査」であったりします)では、⼀⼈ひとりの⽣徒に対して、厳密に⽐較検討をすることまでは困難です。例えば、筑波⼤学附属⼩学校では、60分にも満たない時間の中で、30名が同時に考査を受けます(※2020年度まで。
2021 年度の考査はコロナ禍による密回避のため受験者数を約半数に削減)。そして、3⽇間に渡る考査(⽣年⽉⽇によって、受験⽇と試験内容が異なります)が終わったら、その翌⽇には合否が発表されます。
同校の2次考査(検定)では、⼝頭試問、ペーパー課題、制作、運動課題、⾏動観察といった、複数の課題に取り組みます。これらの試験内容のそれぞれを、厳密に採点し、合否を出すということを、3⽇間の試験終了後の翌⽇までにまとめる、ということは、現実的ではありません。実際には、各課題の「合格ライン」を設定して、その合格ラインに達している受験⽣を合格にする、といった対応のようです。
つまり、国⽴⼩学校受験における合否は、「試験会場内で」すでに決まっている、という可能性すら、ありえるのです。
また、国⽴⼩学校については、系列の中学校への連絡進学が基本的に整っています。ただし、中学受験に関しては、国⽴⼩学校が「受験のための⼩学校ではない」「中学受験についての対応は⾏なっていない」ということを、明⾔しています。なので、国⽴⼩学校に進学した後、系列校ではない中⾼⼀貫校への受験を考えるとしたら、⾃主的に中学受験対策を進めていく必要がある、ということは、把握しておく必要があります。(なお、私⽴⼩の中には、中学受験に向けた指導を特⻑としている学校もあります。)

4)ペーパー学習を始めるよりも前に⼤切にしたいこと

国⽴⼩学校受験では、2)でも触れた通り、研究実施校として多くの公開授業を実施するという必要性があります。そして3)では、私⽴⼩学校の受験と⽐較した、国⽴⼩学校受験の性質について触れました。
これらの点を合わせて考えることで、国⽴⼩学校受験における「最重要⼒点」が⾒えてきます。
「受験対策」と考えると、⼤切なのは、複数の単元に渡る「ペーパー課題」だと考える⽅も、多くいらっしゃるでしょう。あるいは、「かたむすび」や「ちょうむすび」がスムーズにできる製作(巧緻性)の⼒だとも、考えるかもしれません。「くま歩き」がスピーディーにできる運動能⼒を、鍛えていかなければ、と感じる⽅もいらっしゃるでしょう。これらの課題について準備を進め、⾃信を持ってスムーズにおこなえるようになることは、受験対策を進めていく上でも⼤切です。ですが、これらは、国⽴⼩学校受験における「最重要項⽬」ではありません。
過去の聞き取りの調査の結果、試験本番で「ペーパーで満点が取れなかった」「製作が完了する前にお時間になってしまった」「くま歩きの途中で転んでしまった」といったいずれのケースにおいても、合格者が出ている、という事実があります。しかし、本番で「おしゃべりをしていて注意を受けた」「ペーパーで隣を⾒ないよう注意を受けた」「待機時に注意を受けた」お⼦さまは、例外なく不合格となっています。こうした前例から考えると、国⽴⼩受験の合格を考えたときに、「ペーパーで⾼得点を取ること」よりも、「正しい姿勢を⾝につけ、維持することができること」の⽅が、重要なポイントである、といえそうです。
なぜ、ペーパーでの得点よりも、試験を受ける際の「態度⾯」の⽅が優先されるのでしょうか。それは、公開授業を企画する際に、教室内の学ぶ姿勢が整っている必要があるからとも考えられます。もし、国⽴⼩学校の⽣徒たちが集中して授業に参加する基本的な姿勢や態度を⾝につけていないとしたら、「授業の受け⽅」のための授業をする必要があり、研究の実施や授業の企画を妨げる負担となってしまいます。これらの理由から、国⽴⼩学校としても、⽣活の基礎である⾝辺⾃⽴ができている⽣徒、お話を聞くことができたり、集団⽣活をする上でのお約束を守ることができたりする⽣徒を、選抜しているのではないか、
と考えることができます。
試験を受ける態度⾯についての評価は、得点化できるペーパー試験などとは異なり、明確な数値にできません。いわゆる「印象点」だということになります。そして、この「印象点」については、試験官の先⽣の主観によるところが⼤きい部分でもあります。ペーパー試験の解答が0点から100 点満点まであるとしたら、印象点は、プラスマイナス10000 点にでもなる(くらいに影響が⼤きい)ともいえるかもしれません。
まずは、印象⾯での減点を防ぐ、「⽴ち⽅」「座り⽅」の姿勢を整えることが⼤切です。そして、それだけではなく、プラスの印象点、例えば挨拶やお返事、お話を聞くときの視線などについても、⾃然とできるようにしていくことが、⼤切な受験対策だということになります。そして、これらの姿勢・態度⾯は、ペーパー学習を繰り返すより前に、⽇常⽣活を通して、⾝につけていけるものでもあります。お⼦さまに、「正しい座り⽅」や「⼤⼈の⽅へのご挨拶」についてお伝えすると同時に、ご家族の皆様も、そうした「姿勢」や「挨拶」について意識的に実践するようにしてみてください。お⼦さまは、お⽗さま・お⺟さまをはじめとする、⾝近な⼤⼈の姿を⾒ています。まずは、ご家庭の中から、意識的に挨拶をするようにしてみましょう。⽇常⽣活の中から、受験の準備は始まっているのです。
⼩学校受験において、お勉強の際の姿勢や挨拶、態度と並んで重要なのが、お話を聞いた内容を「理解する」ということです。なぜなら、⼩学校受験における設問や指⽰が、(⽂章や書⾯ではなく)全て⼝頭でなされるからです。しかも、それらの⼝頭での指⽰は、⼀度しかなされません。つまり、試験会場に⼊ってから退出するまで、1度しか⾔われない⼝頭での指⽰を、全て聞き漏らさず、その内容を記憶にとどめた上で、指⽰通りに⾏動する必要があるのです。また、ペーパー試験においても、現在(2020年までの時点で)、ペーパー試験が課されている都内国⽴⼩4校(筑波⼤学附属⼩学校と東京学芸⼤学附属⼤泉・⼩⾦井・世⽥⾕⼩学校の3校)では、ペーパー課題の中で必ず、「お話の内容理解」の問題が出題されています。
これらも、先述の「お話を聞くことができる」⽣徒を選抜するという意図によるものかもしれませんが、いずれにせよ、「聞く⼒」を⾝につけておくことが、国⽴⼩学校受験においては重要です。
「聞く⼒」を⾝につけるための最初のステップは、「読み聞かせ」を習慣化することです。「読み聞かせ」は、絵本を⼀緒に⾒ながら読み聞かせをするスタイルから、お⼦さまが本を⾒ないでお話を聞く、というスタイルへと順に移⾏していくと良いでしょう。タイミングとしては、寝る前の読み聞かせが、習慣にしやすいようです。また、「お話を聞く⼒」は、「話す⼒」とあわせて⾝についていきますから、親⼦で、たくさんお話をすることも⼤切です。その際には、お⼦さまが、たくさんお話をして、その⾔葉にじっくり⽿を傾ける、ということをしてみてください。「⾃分のお話を聞いてもらえることが嬉しい」という経験をすることで、「他の⼈がお話をしているときは、お話を聞けるようにしよう」という意識が育まれていきます。
姿勢・態度⾯に関する、いわば「躾」に相当する部分、そして読み聞かせや親⼦での会話は、いずれも、机に座っての「お勉強」とは別の時間で、⽇常的に取り組むことができます。もし、国⽴⼩学校受験を考えるのであれば、(あるいは、「受験」を考えなかったとしても、就学後の学習の基礎づくりとして、)ぜひ、ご家庭の中で意識をして、取り組んでみてください。

5)どのように国⽴⼩受験に取り組むか 〜3つのタイプ〜

国⽴⼩学校の受験の準備に取り組んでいこうとした場合、学習⽅法としては、⼤きく分けて3つの⽅法があります。
1つめは、「ご家庭でお勉強に取り組む」という⽅法です。市販されている過去問を購⼊して、その出題傾向を把握したら、過去に出題された単元や作業を細分化して、順番に学習を積み重ねていきます。いきなり、過去問レベルの課題に取り組むのではなく、ご家庭で取り組んでいくことを想定している市販の教材を活⽤し、徐々に、本番に向けてレベルアップを⽬指していきます。
2つめは、「単発の講習会や、模試などに参加する」という⽅法です。ご家庭の学習と、実際の考査本番との⼤きな違いは、「家族とは違う⼤⼈の先⽣(試験官)から出される課題に取り組む」「多くの⼦どもたちと⼀緒に(集団課題を含めた)課題に取り組む」といった点です。これらは、ご家庭での学習で模倣することが困難な点です。模試や講習会に参加することで、より本番に近い雰囲気の中でお勉強をする経験を積み、その中で課題を⾒つけ出し、ご家庭での学習に活かしていくことができます。
3つめは、「定期的に開催されるレギュラークラスに通う」という⽅法です。定期的に、お教室に通うことで、学習のための基本の「型」を、より定期的に意識して、学習に取り組む経験をすることができるようになります。また、お教室の講師の先⽣に、お⼦さまの特性や現在地、成⻑を理解してもらうことで、受験の準備をご家庭の外から応援しサポートする「伴⾛者」を得ることもできます。ご家庭での学習の⽅法や、状況に応じた対策の⽅法について、個別にアドバイスを受けることで、受験に向けた⼼配や迷いごとを、すぐに解決しながら、受験対策を進めていくことが可能です。
以上が、国⽴⼩受験に向けた学習の3つの⽅法です。「模試」「講習会」や「レギュラークラス」を効果的に活⽤することで、さらに学びは深まっていくでしょう。ただし、いずれの場合にも共通することは、「ご家庭での学習が、受験対策の『核』となる」ということです。たとえ、模試や講習会、レギュラークラスに通わせたとしても、ご家庭での学習はしないで良い、ということではありません。
むしろ、国⽴⼩学校に合格してから以降も、ご家庭で学習の機会を設け、⽣活の中で学びを深められる環境を作っていくことは重要です。国⽴⼩学校での学び⾃体が、与えられた学びではなく、⼦どもたちの主体的な学びの姿勢を要求するからです。⼩学校への受験準備を進めていくことで、ご家庭での学びの環境を整えていくことが、(結果的に、どの⼩学校に進学することとなったとしても)就学後の学びのための習慣づくりとして、⼤切な財産となるはずです。
もし、家庭学習に加えて、模試や講習会、レギュラークラスのお教室に通うことが決まったら、次の章でまとめる、「模試や講習会・お教室を最⼤限に活⽤する⽅法」をご参考にしていただき、ぜひ、お教室での学びの機会を、効果的に活⽤していけるように、お⽗さま・お⺟さまからも働きかけてみてください。

6)模試や講習会・お教室を最⼤限に活⽤する⽅法

国⽴⼩学校の受験を⽬指して、模試や講習会・お教室を最⼤限に活⽤するために、ひとつのクラスでの学びを、3つのタイミングに分けて考えてみましょう。お教室での学びを時系列に沿って3つに分けると、「①お教室に⾏く前」「②お教室にいる時」「③お教室に⾏った後」に分けることができます。
この中で、「②お教室にいる時」については、お教室が親⼦分離をする形式をとっている場合が多くあります。より本番形式での学習を想定すると、お教室や講習会は親⼦分離の形式をとります。そのため、お⼦さまの学びを最⼤化するために、保護者の⽅ができるのは、「①お教室に⾏く前」と「③お教室に⾏った後」の2つのタイミングで、より効果的な働きかけをすることです。
「①お教室に⾏く前」におこなうことは、⼤きく分けて2つです。ひとつめは、「お教室の期待感を⾼める」ということです。ちょうどそれは、待ち望んだ旅⾏に⾏く前の感覚に似たものかもしれません。
「お教室では、どんなお勉強をするのかな」「先⽣はどんなことをするのかな」といったようなことを、確認しながら、講習会を迎えます。お⼦さまが、お教室の時間に期待感を持ち、前向きに参加すればするほど、同じ授業の時間から、多くを学び、吸収することが可能です。
お教室に⾏く前におこなう、もう⼀つの準備は、「お教室で守るお約束」や「お勉強をする意味」についても触れておく、ということです。例えば、背筋を伸ばして座ることや、先⽣のお話を静かに聞くこと、ペーパー学習では隣の席を⾒ないで考えること、これらの「お約束」のなかから、「その⽇のテーマ」を選んで確認をするようにします。お教室で守るべき「お約束」については、⼀度に全てを守ろうとするのは⾮常に難しいです。お教室の前に、何かひとつだけ「今⽇、気をつけること」を設定して、「(例えば)今⽇は、先⽣がお話をするときは、先⽣のお顔をよく⾒て、静かに聞こうね。」といったようなお約束を、親⼦で交わしておくことで、お約束を守る意識が、ひとつひとつ⾝についていきます。
そして、これらのお約束を守ることや、お教室に通うことの理由として、「素敵な⼩学⽣のお兄さん(お姉さん)になるため」にお勉強をしていっている、ということをお⼦さまと共有するようにできると、さらに理想的です。そうすれば、素敵な挨拶やお返事、姿勢を整え維持することなど、慣れないうちは「少し⼤変」と感じるようなことに対しても、⽬的意識を持って取り組むことができるようになるでしょう。
次に、「③お教室に⾏った後」に、ぜひおこなっていただきたいことについてご紹介します。お教室が終わった後におこないたいことは、ずばり、「その⽇のお勉強の復習」です。ここでいう「復習」というのは、「今⽇のお教室はどうだったの?」と、お迎えの際のお⽗さまやお⺟さまが、その⽇のお教室について興味を持って聞いていただくこと、そして、それに対するお⼦さまの答えやお話に、丁寧に⽿を傾ける、ということです。
学んだ内容は、⾔葉にして伝えようとすることで、最も効率的に⾝についていきます。また、「話す」⼒をつけることは、⼝頭試問や個別課題の際に⾃分の考えを伝えることにもつながりますし、「話す」ことで、その反対の「聞く」⼒も⾝についていきます。もちろん、その⽇体験をしたことを、うまく⾔葉にできなくても、⼤丈夫です。学んだ内容を「伝えようとする」ことができていれば、それが⽴派な「復習」となるのです。
ぜひ、お教室の後は、「その⽇、お教室で起こった出来事」について、親⼦で、たくさん会話をしてみてください。お⼦さまが、「あとでお教室の内容をお⽗さんやお⺟さんに伝えなきゃ。」と思っていると、集中して講師の先⽣のお話を聞こう、お教室で起こることをよく⾒て覚えておこう、という意識にも繋がります。ですから、お教室に⾏く前に「お教室でどんなことがあったか、あとで教えてね。」などとお願いしておくのも良いでしょう。
その⽇のお教室のことを、じっくりと振り返って、吸収したら、また、次のお教室を楽しみにしながら、⽇々の学習に取り組んでいきます。この①②③のサイクルを繰り返すことで、お教室での学びを最⼤限に吸収して、成⻑していくことが可能となります。お教室を活⽤する際は、ぜひ、意識して取り組んでみてください。

7)ゴールは「国⽴⼩学校への合格」ではない

このように書くと、国⽴⼩学校への進学を⽬指し、そのためにこのアドバイスを読み進めていただいている⽅の中には、⼾惑われる⽅もいらっしゃるかもしれません。その場合は、あらためて、「1.なぜ、受験に取り組むのか?」という問いかけへの答えを、振り返ってみていただけたらと思います。
国⽴⼩学校受験に取り組む⽬的や意義は、「国⽴⼩学校の受験に合格すること」ではなかったはずです。
むしろ、⼩学校に上がった後のことを考えればこその国⽴⼩受験であり、あるいは、⼩学校受験に向かうための取り組みそのものが、価値があることだと捉えているかもしれません。
国⽴⼩学校の受験においては、「ご縁」の要素が⼤いに含まれています。国⽴⼩学校受験の合否は、単にその⼩学校とのご縁があるかないか、の結果でしかなく、お⼦さまの優劣を決めるものでもなければ、ましてや受験当⽇までに⾄る学びの取り組みに審判をくだすものでもありません。「今⽇の学びに価値があった」とわかるのは、合格発表の⽇の、もっとずっと後のことかもしれませんし、反対に、「やろう!」と決めたことをやりきった1⽇には、その⽇の夜にでも「マル」を与えていってほしい(つまり、結果の承認の前には⾏動の承認があることが望ましい)、そう願っています。
⼩学校受験を通してご夫婦やご家族でお⼦さまの学習について共に⾒つめ、考えを深めていくこと、そして、ご家庭で学ぶ環境や習慣が⾝につくことこそが、お⼦さまのその後の学習習慣や、ひいては「⽣き⽅」そのものを形成していく上で⼤いに役⽴ちます。これこそが、親⼦で⼩学校受験に取り組むことの最⼤の価値なのではないか、とも考えています。
「⼩学校受験」という明確な⽬的があるからこそ、そこには、挑戦があり、時には悩みや葛藤も⽣まれるかもしれません。それらを乗り越えていく中でドラマがあり、成⻑があります。⼩学校受験というイベントを通して、親⼦や、ご夫婦の絆がより深まり、就学前のこの時期が、⽣涯を通じた思い出の時間となるならば、これほど素晴らしいことはない。そう思っています。
⼩学校受験協会では、⼩学校受験の準備を含めた就学前のお⼦さまの学び向けた取り組みを、より楽しく、より充実した時間としていただくための情報発信や、講座を企画してまいります。
⼩学校に上がる前の、有意義な学びの機会を、ご家庭で企画していただき、有意義な⼩学校受験に取り組んでいただくこと、そして、その取り組みを通して、お⼦さまが健やかに成⻑していかれることを、⼼から願っております。

⽂:⼀般社団法⼈⼩学校受験協会 代表理事 藤⽥和彦

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