【小学校受験】図形問題が得意になる「模写」の練習法|お絵描きで育つ全体と部分を見る力

「図形問題がなかなか得意にならない」
「お手本と同じ形を描いているつもりなのに、どこかズレてしまう」
小学校受験のペーパー学習において、図形課題は避けて通れない重要単元です。
しかし、いきなり難しい回転図形や鏡映像のドリルを解かせようとしても、お子さまが混乱してしまうことは少なくありません。
図形を得意にするために必要なのは、高度なテクニックよりも前に、「全体と部分を正確に見る力」を養うことです。
そのための最も効果的で、かつご家庭で今日から取り組める学習法が
「模写(もしゃ)」です。
今回は、なぜ模写が図形課題に役立つのか、
そしてお勉強としてだけでなく「遊び」の中でその力を伸ばすコツ
をご紹介します。
※他の単元の解き方や、ペーパー対策の全体像を知りたい方は、こちらの【ペーパー対策完全ガイド】もあわせてご覧ください。
【小学校受験】ペーパー対策完全ガイド|全単元の「解き方」と家庭学習のコツを総まとめ
図形課題に取り組む際に必要な「全体」と「部分」を見る力
今回は、
・同図形発見
・図形構成、図形分割
・欠所補完
・鏡映像
・四方観察
・重ね図形
・回転図形
などといった、図形課題を解く上で役に立つ視点や力についてご紹介します。
たとえば、「同図形発見」について考えてみましょう。
問)左と同じ形のものを右から見つけてください。

ぱっと見た時の形は、どれも同じようにも感じます。
でも「なんか違う」という気もします。
全体的に見ているだけでは、同じ形を見つけるのが少し難しいようにも感じられます。
そんな時は、

このように、部分に着目をして、違うものを探し出します。
上側の○が、黒くなっている一番左の形が不正解であることがわかりました。

今度は、残った3つについて下の●に着目すると、
右から2番目の形が、○となっており違うことがわかります。

最後に、左上の三角の色に着目をすると、
いちばん右の形は、不正解ということがわかりました。
これで、正解がひとつに絞られました。
このようにして、「全体を捉えてから、細かい部分にズームして違いを考える」という視点の切り替えができるようになると、
図形問題のミスは劇的にに減ります。
ですから、
それぞれの単元のペーパー学習に取り組むことは、
結果的に、他の単元の理解を助けることにもなります。
全体から部分を見る力を養うために「模写」に取り組んでみましょう。
全体の形の大きさやバランスを捉えながら、
細かい部分を意識して形を描いていく。
そんな「模写」に取り組むことは、
それが受験に出題される、されないを抜きにして、非常に有効な学習です。
年中さんのお子さまから、
年長さんの受験を控えるお子さままで、
ぜひ、継続的に「模写」に取り組んでいってほしいです。
模写は、基本図形である「まる、さんかく、ましかく、ながしかく、ひしがた」などを描く「図形模写」や、
お手本通りに線や形を書く「点図形」や「位置の対応」課題
いくつかの形が重なった絵や幾何学的模様を描くものもあります。
近年の東京学芸大学附属世田谷小学校では、
過去のサインペンを使った(迷路のような道を進む)運筆課題から、お手本どおりの形を描く「模写」へと課題が変更になりました。
(ちなみに、世田谷小は、例年赤のサインペン・あるいはラッションペンを使ってペーパー課題に取り組みます。間違えた時に消しゴムで消すことができないのは、鉛筆やクーピーを使って解答する場合と共通ですが、ペン先が引っかかりやすく、思い通りに線を書くことが難しいため、慣れていないと苦戦します。)
これらの図形模写については、
運筆課題であるのと同時に、「部分に注目する」意識も高まるため、
学習メニューとしておすすめです。
模写は「一度取り組んで終わり」ではありません
模写の学習は、「できたか」「できないか」の二者択一ではありません。
繰り返し取り組む中で、
「斜めの線が正確になった」
「角を明確に描けるようになった」
「筆圧が安定した」
と、その出来栄えは少しずつ、確実に変化していきます。
また、この「自分の思った通りに鉛筆を動かす(運筆)」という基礎は、
年長さんで取り組む「位置の対応」「重ね図形」「回転図形」といった難問を解く際、
頭の中のイメージを正確に紙に書き出すための「武器」にもなります。
模写で目を向けたい3つのチェックポイント
ご自宅で、お子さまが「模写」に取り組むとき、どのようなポイントを見てアドバイスをすれば良いでしょうか。
3つのポイントを紹介します。
・大きさのバランス:お手本と同じ大きさに描けているか?
もし、お手本が真横や真上にあるならば、上下の高さや横幅を比較することはやりやすいはずです。
多くの場合、「お手本より小さくなってしまう」傾向があります。
時間はかかりますが、同じ大きさになるように、じっくり形を描くと良いよ、とアドバイスをしてみましょう。
・角の形や直線の向き、曲線の形:角を明確に描けているか、お手本を意識して直線や曲線が描けているか?
基本図形の「三角」や「ひし形」など、斜めの辺と角で構成されている図形は、特に慣れていないと描くのが難しいです。
角が丸くカーブしてしまったり、辺の向きが途中で変わってしまったりします。
・描き始める場所:どこから描き始めているか?
実は、描き始める場所を観察するだけで、お子さまが「図形をどこから見ているか」という癖が見えてきます。
明確な正解があるわけではないですが、ここに意識を向けることで、就学後の学習の土台づくりがより進みやすくなります。
ちなみに……、
○(まる)の書き方に関する疑問について詳しくは、
○(まる)は上から?下から?正しい書き順と書き方を解説
をご覧ください。
うまくできていなくても、「頑張りを認める」
最初は、上手に描くことができなくて当然です。
そして、お子さまが形を見比べる力がついてくるにしたがい、
上手に描く力はまだついてないけど、「自分の描いた形は思ってたのと違う」ことに気づけるようになります。
ここで「うまくできないから、やりたくない」という方向にならないことも重要です。
描いた形が「違う」ことは、お子さまも認識できている場合もありますので、
うまくできていないことを指摘しすぎないようにします。
むしろ、「集中して上手に描けたね」と、お子さまの頑張りを認めつつ、
「ここが、こうなったら、さらに上手になるね」と、(お子さまがそのようにできるようになる近未来を確信しつつ)前向きに伝える、という関わり方が大切になります。
模写の力は、小学校入学後の「漢字学習」にも繋がっています
模写で養われる「お手本と同じ大きさ、形で描こうとする意識」は、
小学生になってからの漢字の学習でも非常に大きな差となります。
デジタル化が進む現代だからこそ、手書きで「バランスの良い綺麗な字が書けること」は、それ自体が一生の財産であり、一つの希少価値(強み)になると私は考えています。
テストでの無用な減点を防ぐだけでなく、読む相手に信頼感を与える力にもなるからです。
ペーパー学習スタイルではなく、純粋な「模写」でも構いません。
ペーパー学習として取り組もうとした場合に、なかなか気分が乗らないお子さまもいるかもしれません。
そのような場合は、「お勉強」の枠組みの外で、「上手に描く力」を養っていきましょう。
何をやればいいのか?
例えば、幾何学的な図形の模写とは違い、
お子さまが好きなキャラクターの絵や、図鑑の写真やイラストを使っておこなうこともできます。
そしてそれは、
「お勉強」として提示するのではなく、
「お絵かき」という遊びの一環(≠お勉強)として、取り組むことができます。
鉛筆や、クーピーなどを使って、
お手本そっくりに絵を描くことを目指して、
たくさん、お絵かきをしてみてください。
私自身、
幼少期に、自宅で「お絵かき教室」をやって、楽しく絵を描くなどしていました(「先生」役は、別に絵画が専門でもなんでもない父でした)。
遊び感覚でしたが、
「お手本をまねする」という意識は、この頃に身についていったと感じています。
もちろん、「楽しく」取り組むことが大切ですから、
その出来具合の「上手」「下手」をあえて語る必要はありません。
「お絵かき」に取り組んでいるだけでも、すでに、
ペーパー学習の理解を深めるための、良い土台造りになっているので、
十分にお勉強としての価値もあります。
特別な専門的な技術も、必要ありません。
鉛筆やクーピーと、白い紙があれば、
いつでも、取り組むことができます。
ペーパー学習に少し疲れたら、
お手本を見ながら絵を描く「お絵かき」で、遊んでみてください。
遊びのつもりで取り組んでいた「お絵かき」が、
ペーパー学習の、次の一歩をサポートしてくれるかもしれません。
模写で基礎を固めたら、次はこういった応用問題に繋がります。
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遊びの中に「合格の種」をまく
模写の練習は、机に向かってプリントを解く時だけではありません。
大好きなキャラクターを真似して描く、図鑑の昆虫をそっくりに写してみる。
そんな「お絵描き」の中にこそ、観察力を磨く最高のチャンスが隠されています。
当協会の定期教室では、お子さまが描いた一本の線から「今、この子は図形のどこを捉えられていないのか」を分析し、一人ひとりに合わせたアプローチをおこなっています。
「図形に苦手意識がある」「運筆を楽しく身につけさせたい」という保護者様、
ぜひ一度体験レッスンで、お子さまの「見る力」の変化を実感してください。
※定員制のため、定員に達したクラスから順次受付を終了いたします。