お約束を「当たり前」にする4つのステップ②
前回に引き続き「お約束を守れるようになるために」というテーマについて、話を進めていきます。
(再掲)お約束を「当たり前」にするまでの4段階
ものごとを、当然のようにできるようになるまでの4つのステップですが、
ステップ1、「知らないから、できない」
ステップ2、「わかっているけど、できない」
ステップ3、「気をつけたら、できた」
ステップ4、「意識しなくても、自然にできている」
というステップでした。
今回は、ステップ2の状態からステップアップする方法について、説明していきます。
ステップ2、「わかっているけど、できない」
「お約束を守る」ことの大切さは、知っている。
「なぜ、お約束を守ったほうがいいの?」と聞かれたら、その理由を説明することもできる。
なのに、いざお教室や講習会となったら、つい姿勢が崩れてしまったり、おしゃべりをしてしまう。
そんな状態が、「わかっているけど、できない」状態だといえます。
理屈では理解しているのですが、ついつい、そのことを忘れてしまうのです。
お教室で、お約束を守れない、というお子さまは、たいていがこのステップ2の状態にあるのではないかと思います。
この状態から、お約束を守れるようにするためには、
「お約束を守ること」を、つねに意識しておくことが必要です。
お教室でも、「どのように座ったらいいでしょうか。」と声をかけたら、ほとんどのお子さまが、背筋を伸ばして、手をおヒザにした姿勢で座ることができます。
つまり、意識をしていることさえできたら、姿勢を整えて座ることは、可能なのです。
なぜ、意識を継続することが難しいのか?
意識すれば、お約束を守ることが可能である。
そうであるならば、「なぜ、意識を継続できないか」を知ることが、重要になってきます。
お約束を意識することができなくなる理由は、大きく分けて2つです。
ひとつめは、言われたお話の内容を、「一時的に記憶にとどめる」ことができていないから、
もうひとつは、お約束に意識を払う余裕がないほどに、困難な課題に取り組んでいるから、
だといえるでしょう。
ひとつめの理由については、「お話の内容理解」など、お話を聞いて、そこで言われている内容を理解して、記憶にとどめるトレーニングを継続していくことで、良くなっていきます。
もうひとつの、「課題が難しすぎて、お約束を覚えていられない」という状態の場合から、次のステップに進む方法について、考えてみたいと思います。
ご自宅で、お勉強をするときにも、お約束を守ることは、意識して継続していきたいことですが、
お勉強を進めていく中で、たとえば姿勢が崩れるなど、お約束が守れなくなることも、あるかもしれません。
そうした状況では、お子さまにとって、
「お約束を守ること」と「問題に答えること」を、並行して行うことが困難である、という可能性を考える必要があります。
むしろ、「お約束を守る」ことに意識を割きながら、課題に取り組むこと自体が、非常に難易度の高いことです。
(例えば、自動車教習所で慣れない車の運転をしているときに、教官の先生が隣で「好きな色は、なんですか?」と聞いてくるようなものです。例えとして、ありえないくらい荒唐無稽な話ではありますが。)
ですから、今後、よりレベルの高い問題に取り組んでいく前に、意識しなくてもお約束を守れるようにしておくことが重要です。
もし、お子さまがお約束を守ることが無意識にはできない状態であるなら、
まずは意識してでも、お約束を守れる状態を継続していけるようにすることが第一歩です。
意識しながらでも、お約束を守れるようになるための対策のひとつとして、
「お約束を守ること」に集中する学習をおこなうことをご紹介します。
例えば、ペーパー問題に取り組む場合なら、
いつもの我が子なら、10回やって10回正解できるような、易しい問題を数問、準備します。
そして、「今日は、お約束を守ることができたら正解だよ。」
と、守るべきことを事前に伝えた上で、ペーパーに取り組むようにします。
問題を解くこと自体は、ほぼ間違いなくできるわけですから、
姿勢を整えること(そして、「はじめ」と「やめ」の合図を守ることや、回答が終わったら手をおヒザにして「みなおし」をすることも)に、意識を残すだけの余裕があるはずです。
その日は、お約束を守ることへの意識を継続して、お勉強に取り組みます。
学習をリードするお母さま・お父さまも、「お約束を守れているか」ということに意識をして、取り組むようにします。
万が一、簡単な問題を間違えてしまったとしても、もし姿勢を整えることができていたなら、
「今日は、お約束を守る練習の日だから大丈夫。しっかりお約束を守れているよ。」と、伝えます。できなかった問題については、簡単な復習(正解の確認)にとどめます。
そうして、お約束への意識を継続させて、十数分お約束を守り通すことができたら、その日のお勉強は大成功です。
なぜなら、親子ともに持っていたかもしれない「お約束を守ることが難しい」という認識が、くつがえるほどの成果を、成し遂げたからなのです。
もしかしたら、お子さまにとっても、それだけの長い時間、姿勢を整えることを継続できたのは、はじめての経験かもしれません。
「お約束を守る」ことは、難しいことではない。
その意識が、どんどんと自信につながり、「今度のお教室でも、お約束を守ることを、気をつけてやってみよう」という意識が、自然と芽生えてきます。
これは、「今日はお約束を守るのよ。」と、伝えられてお教室に向かうことよりも、さらに効果を発揮するでしょう。
「お約束を守れるようになるために」というテーマで、
「わかっているけど、できない」という状態を克服するためのヒントについて、ご紹介しました。
まずは、「意識してできる」という状態を、実際に体験することことが、お約束をマスターするための秘訣です。
次回は、お約束を守れるようになるための最終回、
「意識しなくても、できる」状態になるためのポイントについて、まとめていきます。