お約束を「当たり前」にする4つのステップ①
だんだんと、冬の寒さがやわらいできて、春のおとずれを感じる時期になりました。
先日の幼稚園での授業の際、
ひとりの女の子が目の前に来て、
自分自身のことを指さしながら、
「花粉症!」
と、ちょっと自慢げに教えてくれました。
花粉症すら、「成長のあかし」にできてしまうお子さまの無邪気さに、
新しい「ものの見方」を、教わった気がしました。
お勉強の「お約束」を守れるようにするために
本日より、お勉強をする上での「お約束」について書いていきます。
お教室でお勉強をする時には、守れるようにしたい「お約束」が、いくつかあります。
お教室でお勉強をしたり、小学校でテストを受ける際の「お約束」の、おもな例としては、
・手をおヒザにして、おヒザとおヒザをそろえて、背筋を伸ばして椅子に座ります。
・先生や他のお友達がお話をする時には、そのお話を聞きます。
・ペーパー問題は「はじめ」と「やめ」の合図を守ります。
・隣の人を見ずに、ペーパーや制作に取り組みます。
・廊下を移動するときは、ゆっくりと歩いて移動します。
といったことが挙げられます。
これらのお約束のひとつひとつについて、お教室の中で説明があるかもしれませんが、
もしも説明されなかったとしても、気をつけて守っていくことが重要です。
お家でも、何度もお約束をしているのに、
なかなか、お約束を守ることができない。
ということで、頭を悩ませているお母さま、お父さまから、ご相談を受けることもあります。
複数回にわたって、お約束が守れるようにするために、どうすればいいのか、について、お役にたつかもしれない「考え方」をまとめます。
お約束が守れていなくても、かまわない。
「お約束を守るために」というテーマなのに、いきなり真逆のことを言い出したので、戸惑っている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、あえて最初にお伝えさせてください。
「お約束が守れていないからといって、素晴らしいお子さまであることは変わらない。」ということを。
「お約束が守れていない」ということは、それが目につきやすいために、
お教室や講習会、模試などで、最初に指摘されることが多いです。
そのため、「お約束が守れていない」ということを伝えられて、必要以上に思い悩んでしまうものです。
もちろん、小学校受験をする上で、「お約束を守る」ということは必要条件ですから、少なくとも本番までには、お約束を守れる状態を、作っておく必要があります。
ですが、はじめにお約束が守れないことは、不思議なことではありません。
意識をして、徐々に、できるようにしていけばいいのです。
そして、子どもは、お約束を守れるようになる力を持っています。
ですから、安心してください。
もし、お子さまが今、お約束が守れていなくても、必ず、お約束を守れるようになる時が来ます。
それは、「時間の問題」なのです。
お約束を「当たり前」にするまでの4段階
お約束を守ることに限りませんが、
あることを、当然のようにできるようになるまでには、以下の4つのステップを踏みます。
ステップ1、「知らないから、できない」
ステップ2、「わかっているけど、できない」
ステップ3、「気をつけたら、できた」
ステップ4、「意識しなくても、自然にできている」
それぞれのステップについて、順番に説明していきます。
ステップ1、「知らないから、できない」
「お約束を守る」ということを、聞いてもいないし、知らない状態です。
たとえ、先生やお母さまが、「手をおヒザにしていてくださいね」と言っていたとしても、それを聞いていなかった(知らなかった)のであれば、お約束を、守れるわけがありません。
ですからまずは、「お約束を守ることが大事なのだ」ということを、知っておく必要があります。
「なぜ、お約束を守る必要があるの?」
ご家庭で、お約束について伝えるときは、「〇〇するように」と伝えることに加えて、
「お約束を守ることの意味・価値」を、あわせて伝えて、お子さまが理解できるようにすることが大切です。
たとえば、「背筋をピン」として座ることも、そうすることが、カッコいい座り方なのだと、伝えるようにします。
お教室では、「王子様・お姫様の座り方だね」と伝えています。ですが、この伝え方は全てのお子さまに最適な伝え方であるとは言えません。
お子さまの中で、理想のヒーロー、憧れのヒロインがいるなら、そのヒーローや、ヒロインの姿勢が「背筋を伸ばして座ること」だと伝えてあげるといいでしょう。
厳密な理由の説明を、する必要があるわけではありません。
お子さまが納得して、「じゃあ、僕は(私は)背筋をピンと伸ばして座るようにするんだ。」と決意できることが目的だからです。
※ちなみに、「背筋を伸ばして座る」ことのメリットを大人向けに説明すると
・脳への血流が増し、脳に行き渡る酸素の量が数10%増量する。
→思考がクリアになり、記憶力や集中力をはじめとする脳のパフォーマンスが向上する。
・背筋が伸びた姿勢は、自信を高めるとともに、対峙する相手にも、自信のありそうな雰囲気(=魅力)を伝えることができる。
→対人関係での印象を良くする要素のひとつとなる。(良い印象は、小学校受験の合否にも良い影響を与えるでしょう。)
・腰や肩に負担が少ない座り方である。
→将来の肩こり、腰痛を予防することにもつながる。
と言ったメリットが、少なくともあります。
ですから、今の時期から、正しい姿勢で座ることを身につけておくことは、
小学校受験という短期的な目標のためにとどまらず、将来的にも、大きな財産となることなのです。
お子さまの将来のためにも、姿勢を正すことが重要だということ、
そして、お父さま、お母さまにとっても、姿勢を正して座ることの大切さが、伝わっていれば幸いです。
大切なのは、「〇〇すべき!」と頭ごなしに伝えるのではありません。
「なぜ、それをするといいのか」を、理解して進められている、ということが重要です。
この考え方の癖をつけることも、将来にわたる財産となります。
なぜなら、「理屈も分からずに伝えられたことを守る」ということならば、
お約束を守るのは、「お母さんや、先生に、そう言われたから。」という理由でしかありません。
これでは、言われなかったら何もできない、いわゆる「指示待ち」の姿勢が身につくだけです。
あるいは、「守らないと、お母さんに怒られるから。」というのも、ベストな理由ではありません。
それは裏を返せば、「怒られなくなったら、別に何をしても構わない」ということになるからです。
それに対して、「お約束を守ることの意味」を理解しながら行うことは、
「なぜ、それをするのか」を理解し、納得した上で、主体的にその行動を「選択する」ことができています。
このスタンスの基礎を幼少期から身につけていくことが、将来的にいかに重要な力になるかは、言葉を尽くして語らずとも、お分かりいただけるのではないかと思います。
本日は、お約束を「当たり前」に守れるようになるために、
ステップ①「知らないから、できない」状態をクリアするためのコツをお伝えしました。
次回は、ステップ②「わかっているけど、できない」を「できる」にするためのポイントを、お伝えします。